エテリ・トゥトゥべリーゼ コーチ、インタビュー。JGPFのYouTubeチャンネルから。

エテリ・トゥトゥべリーゼ コーチのインタビューです。2018年JGPFの時のものです。

 

B→質問者、テッド・バートンさん

T→エテリ・トゥトゥべリーゼ コーチ

 

https://youtu.be/yLqjDQDSS0c

 

B︰まず初めに、貴方の素晴らしい仕事に感謝を申し上げたいと思います。貴方はいわゆる新しい時代をスタートさせました。貴方のスケーター達やコーチングチームがやってきた事は美しく、また私達のスポーツを世界中に拡げるように成長させています。貴方の素晴らしい仕事ぶりに、視聴者から私も含めて、有難うございます。

少しこのスポーツの事で質問をしたいと思います。以前は若いスケーター達というのは、特に若いジュニア勢というのは4回転を跳ぶことはありませんでした。そういう考えを持っている人がいたとも思いません。

どこかで、特別な瞬間というものはありましたか?「そうだ、この少女達ならば出来る」というような。


T︰多分、練習中です。特にジュニア女子選手達というのは、大抵の場合、男子よりも上手いんです。

少女達は、良いジャンプを跳びます。より力強い。そこがポイントです。ジュニア女子選手は、ジュニアの少年達よりもジャンプが上手い。

何故私達は未だにシニアの男の子たちを進化させようとしているのでしょう?4回転をやらせて。

何故私達は少女達の進化を止めようとするのでしょうか?

私達は同じ事を続けるべきなのか…私にとっては、少女達の方がより良く映ります。


B︰同意します。

私が知りたい事は、貴方が少女達に4回転を教え始めた時、怪我の事を心配したりしませんでしたか?

何故ならば、私は気づいた事があります。貴方の所の若い女子選手は皆4回転をやりますが、怪我をした所を見た事がありません。貴方には何か非常に優れたやり方があるのではと。

彼女達には、その可能性があるでしょう?


T︰私は今でも恐れていますよ。いつでも注意して見ています。彼女達が怪我をするのではないかと…本当です。試合中は、全てのジャンプでそう思います。何故なら私達は怪我をするものですから。


B︰ジャンプの数の制限をしたりしますか?


T︰はい。それから私が見ていて、脚が疲れてきたなと分かったら、そこまで後押しはしません。そして「OK、十分です」と言います。


B︰選手達は続けてやりたがりますか?


T︰時々は…時々ありますね。そして私達はかなり困惑します。もし、私達が練習を止めた事だけが良いポイントだった時には。

 

B︰本当に、並外れた事が起こりました。これからどうなるか誰にも分かりません。貴方の若い女性選手達におめでとうと言いたいです。それと、貴方のコーチングスタッフにも。全くもって優れた仕事です。

では、話題をプログラムに変えたいと思います。貴方が素晴らしい仕事をしている事を知っています。子供達を、若い女性達を、彼ら独自のスタイルを保って成長させています。貴方は、彼女達に共鳴するような音楽を選びますね。子供達が成長している間というのは、春には、どのような課程を経るものですか?


T︰多分そこが指導で一番好きな部分です。私はそれぞれの選手を見ようと努めます。独自の道で…どのような外見か、どのように彼女達は音楽を感じるのか。どのように動くのか。

私にとってプログラムを作る事は、絵を描いたりだとか、本を書いたり、物語を伝えたり…

例えば、博物館の中にいるようにしてみましょう。絵画を見ていて、仮にジュリエットで、私は絵画の中から出てくるように、と思いたいとします。そして動き出して、最後には元の場所に戻ります。

それが私がやろうとしている事です。時々、選手が音楽を聞いていて、その音楽が選手の中から考えを引き出してくれます。それが観客に感じて欲しいものです。一人一人が自分自身からストーリーを引き出します、人生や色々なものから。それを観客に感じて欲しい、プログラムに入り込む事で。


B︰貴方は自分で振付をやりますか?それともグループで取り組みますか?


T︰私とダニイルで一緒に取り組みます。時々、私が音楽を見つけてきて、彼がストーリーを創って…若しくは私がストーリーを創って、彼が音楽を見つける。全て相互の作業です。


B︰貴方の若い女子選手達は、当然ですがそれぞれの個性が違います。各自に合った音楽を見つけるのですね。


T︰それが私達がやろうとしている事です。


B︰それぞれのスケーターが皆、何か火をつけるスイッチのようなものがありますよね。オンにしたら、そのように動くというか。

貴方のスケーターはそれぞれ違いますか?貴方が提案をしてきた音楽のタイプ等についてです。


T︰はい。私達は音楽について話して、プログラムについて話して…又はストーリー、私達が作りたいものについて。例えば、"天使を演じてみよう"だとか。地球に落ちてきた所からスタートします。なんとかして天使の人生を生き抜いて、そして元に戻ります。それが私の見たいものです。アリーナ・コストルナヤのような選手の事です。私には彼女の中に天使が見えます。


B︰彼女を表す時によく聞く言葉です。彼女な天使のような人だ。


T︰そうです。私は観客に理解して欲しいのです。氷上で何が起きているのかを。


B︰本当に美しい仕事ですね。

では…あるスケーターは他の人達よりも早くに成熟します。これはとても難しい事です。素晴らしい事なんですけれど。貴方がこの少女達と共にやって来た事です。でも、彼女達は成長します。そして変わっていく。

移行する事の課程について、貴方には何かアイデアや計画、考えがお有りですか?とても才能ある若い女子選手達が成長し、成熟する。恐らく最も難しい事です。


T︰そうですね。明日がどうなるかなんて、私達には分かりません。ですから、ただ一歩一歩、一日一日。私達が今日出来る事をする。彼らが出来る事なのに、その"何か"をやらない事で後悔しないようにします。それだけです。


B︰貴方は素晴らしいコーチで、またスケーター達の母でもありますね。


T︰うーん、ただそうでなければ。何故なら選手達はとても長い時間を共に過ごすからです。彼女達は朝の10時にスケートリンクへ来て、そして夜の10時にリンクから出ます。それから帰宅、就寝です。また起きて、リンクへ来て、私達と一緒にいるのです。


B︰生活も指導をするのですね。


T︰頑張っている事です。


B︰貴方の娘さんもスケートをしますね。彼女はジュニアグランプリに参戦しました。実は私は知らなかったんですよ。


T︰ええ、出てましたね。

 

B︰自分の娘がスケートをしている所を見ると、どう感じますか?


T︰私は見なかったんです。


B︰見なかったんですか?

私が思ったのは、「母は見ているかどうか、気になる」という風に…


T︰いえ、去年は見ようとしました。でも酷かったんです。自分自身の中では、私は震えていました。それはオリンピックの最中で、翌日がフリーの予定の時でした。

彼女は何処かの試合でフリープログラムをやって、私はそれを生中継で見て、ものすごく緊張したんです。私は自分に語りかけました。「何をやっているの、貴方は明日の事を考えるべきです。この試合じゃない。」と。

つまりその、ただ私はもう見たくないという事です。その試合の最後には、まるで「OK、良かった。」(疲れた様子で)という感じでした。


B︰貴方にとって違いはありますか?もちろん貴方は若いスケーター達を見ていて、色々な感情があるでしょう。どのように貴方の感情を言い表しますか?娘のスケートを見ている時と、生徒のスケートを見ている時を比べて。


T︰それは…やはり同じだと思いますね。私はミスや、私がもっと上手くやれる事を見たり、若しくは何か違う事を出来ないか、とか。

ですから、いつも…ある種の家の中での言い争いのようなものです。私は娘に言うんです。「貴方はもう少し長くシットの姿勢でいるべきだった。」とか「もっと押さないと」とか。

そして娘が「お母さん、もういい。私にはコーチがいる。」と言いますね。

 

B︰(笑)そして、貴方は黙らないといけないね。そうでしょう?


T︰んーそうですね、私はただ、

「OK、でも私はコーチなの。」と。

娘は「でも私のコーチじゃないでしょ」となります(笑)


B︰両親達にどのような提案をしますか?両親達には何が必要でしょうか、コーチの手助けになるために。そして娘や息子を手伝うために。


T︰例えばそれは、自宅で取るブランチのようなものです。もし誰かが私の考えに同意できないとしたら、どんな時でもですが、それを子どもの前では見せてはいけません。私達は後で話をします、子どもの前ではなく。その場では、ただ同じ事をやり進めて、その後に私に言えるでしょう。同意できない、何か違う事をやって欲しい、と。

リンクでも同じ事です。考えの不一致を子どもの前では見せてはいけないです。それは、別々の方向へ押し進めるようになっていきます。そして子ども達は常に、簡単な道へ行くものです。それが普通です。私もそうしたいですよ。


B︰人間ですからね(笑)

貴方のチームについて質問をさせて下さい。貴方には明らかな素晴らしいチームがいます。貴方がいつも近くで働いているコーチ達です。ダニイルやセルゲイ。どうやってチームを一つにしますか?どのように三人のチームは良くなっていったのでしょう?


T︰ただ仕事をします。どんな事も分かれて行ったりはしません。セルゲイ・ドゥダコフだけはプログラムの事をやりませんから、それ以外になります。彼は音楽を見つけたりはしません。でも氷上では、私達はただ同じ仕事をします。


B︰貴方は今年(2018)ジュニアグランプリには来ませんでした。ホームで仕事をしていたんですね。


T︰アリーナや、他のスケーター達とです。


B︰それ以外にも上がってくる良いスケーターがいるでしょう?違いますか?


T︰そうなると良いですね。


B︰(笑)貴方はあまり話さない人ですね、了解です。

一番好きなコーチはいますか?貴方がスケーターだった頃に、好きだったコーチは?指導のやり方を受け継いだりとか、憧れているとか。


T︰いえ。ただ時代が違っていて、コーチ達も違いました。良い意味で、私が誰か憧れる時は、良い方向性として、ジェラシーを持つものです。"彼女はどれだけ良いスケーターを輩出しただろう。私は出来ない、でもいつの日か…!"という感じです。


B︰私は"いつの日か"の日はもう来たと思いますよ。そしてこれから、もっと来るでしょうね。

 

好きなスケーターはいました?貴方が子どもの頃に。


T︰私はボイタノがすごく好きでした。彼は全て兼ね備えたスケーターだと思います。彼はとてもハンサムで、良いスケーティングフロー、大きなジャンプ、そして常にストーリーがありました。振り返ってみても。

私は彼のエキシビションを今でも覚えています。何か、鳥が…(襟元から出てくるようなしぐさ)。ただ美しかったです。


B︰ブライアン・ボイタノ、もし貴方がこれを見ていたら、非常に大きな賛辞を受けましたよ。そのビデオは確実にね。

指導で一番好きな部分は?


T︰結果を得る事です。


B︰貴方は競争心の強い人ですね。


T︰はい。私はそうですね。


B︰くだらない質問でした(笑)

では…ちょっとした質問をいくつか。

好きな食べ物は?


T︰辛いものですね。スパイシーな食べ物が好きです。メキシコ料理とか…刺し身も好きですよ。良い刺し身の事です。


B︰好きな映画は?


T︰何かしら、ロマンティックな物ですね。泣けるものとか、何か考えたり出来るような。


B︰貴方は感情的な人間?


T︰はい、そうです。


B︰心の内側で…?それとも外側に出します?


T︰時には外側へ出てきます。時々ですが。


B︰でも貴方は心の中で沢山感じる訳ですね。


T︰(少し考えて)はい。


B︰スケート以外でやるのが好きな事は?


T︰花や木を植えたりするのが好きです。そして同じですよ、結果が見えますから。育っていって、美しくなる。世話をしなければいけません。


B︰美しい。実際、貴方が仕事をとても上手く出来ているのは、恐らくそういう事が理由でしょう。貴方は小さな子ども達を、若い女性へと育てていますから。


T︰花を買って、見て、その花が育っていくのか分かりません。でも何かが表れてきて、そして…コーチングにも何か関わると思います。


B︰最も素晴らしいコーチングの瞬間は?今の所では。


T︰オリンピックの事を言うべきですよね?


B︰いえ、いいえ。そんな事ないですよ。どんな事でも、どうぞ。

 

T︰分かりません、いつの日か…まだ訪れていません。

その、つまり…説明できます。オリンピックの間は、私にとって大変な期間でした。何故なら……(少し間を取って、一息つく)、

私の母が亡くなりました。彼女は遠くにいて。ですから、その期間というのは、人生の中の最高の部分とは言えないんです。


B︰それは厳しい…大変な事です。喜びを感じるのは難しいですね。貴方の将来に、最高の時が沢山訪れるでしょう。

お気の毒に。

貴方のこれまでの素晴らしい仕事に感謝を。

貴方はこれからも素晴らしい将来、成功があるでしょう。


T︰分かりません(笑)でもそう願います。


B︰貴方がそう言うのは正しいです。でも私はそう思いますよ。


T︰私達は常に同じ心で出来るように努めています。そして私達のスケーター達が滑るあめに十分に健康でいられるよう願います。


B︰貴方がこのスポーツにしてくれた事に感謝を。そして私と話す時間を取ってくれて有難う御座いました。何故なら私は正直に言うと、貴方が怖かったんです(笑)


T︰私も自分の事が怖いですよ。時々。


B︰いや、ただ、色々と知ることが出来て幸せです。貴方がとてつもない感情を感じる能力がある事、そして貴方の内なる情熱も。それを他の人に与え、スケーター達に与え、スポーツにも与えます。我々は寄贈者でもあります。見守りましょう。

私もこのインタビューを楽しみました。何故かと言いますと、今私は少しだけ知っているからです。エテリという人がどういう人物なのか、と言う事を。素晴らしい喜びです。


T︰(笑)有難う。有難う御座います。

 

 

 

終。