ブライアン・オーサー コーチ、インタビュー。JGPFのYouTubeチャンネルから。

ブライアン・オーサー コーチのインタビューです。エテリコーチと同じ、2018年JGPFの時のインタビューです。

 

今回の人名のアルファベットの関係で、

T→質問者、テッド・バートンさん

B→ブライアン・オーサー コーチ

とします。

 

https://youtu.be/l19nom2VjZA

 

T︰世界の優れたコーチの1人であるブライアン・オーサーと話すという素晴らしい機会を得ました。もちろん彼は五輪の銀メダリストであり、世界チャンピオンでもあります。

さてブライアン、貴方のコーチとしてのキャリアは今、スケーターとしてよりも少し長くなりました。そして多くの事を成し遂げて来ました。スケーターとしてだけでなく、コーチとしてもです。

何が貴方を動かし続けていますか?貴方の次のチャレンジは何でしょう?


B︰うーん何と言おう。まず初めに、僕はこのスポーツが大好きです。だからこそ全ての部分で関わり続けてきました。スケーターとして、審判として、表現者として、そして今はコーチです。

僕はそれぞれの場面で多くのハット帽をかぶってきました。ただスケートを愛しています。このスポーツを愛しています。

子供達が上手く滑る姿を見るのが好きです。彼らが初めてのアクセルを降りた時だとか、初めての欧州選手権タイトルを勝ち得た時だとか、世界タイトルを勝ち得た時、オリンピックタイトルを勝ち得た時…。

彼らの旅の一部になれた事はとても特別な事で、もし私がその中で時計の短針のような存在であったなら、素晴らしいです。


T︰少し審判の話に戻っていいかな。いつ審判をしていたの?プロ選手権とか?


B︰僕は審判を良くしていましたよ。スケートカナダの審判として適正な16歳になった時から。テスト審判と、それから試合の審判も。16歳から始めました。26歳まで、出来るだけ審判をしていました。10年間ですね。

僕はゴールドレベルの審判だったんです。だからその、地方予選の審判をしたりとか…


T︰ワーオ!


B︰僕は小さなキャディボックスを持って会場に行って、採点のカードを持ち上げてたんですよ。(コンパルソリー・)フィギュアの採点も上げてました。それは、良い事でした。

僕は沢山の事を学んだんです、そちら側からのスケーティングについてです。審判からの見方や、責任ある場所にいる事、準備されている事。心構えが整っている事が全てなんです。コーチでもアスリートでも。それが子供達に言う、中心的な事です。用意が全て出来ている事。

僕も毎日、リンクへ行く時には用意が出来ていなければいけません。今どんな事が起きているのか、彼らの調子はどうか、彼らのエネルギーはどんな感じなのか。

それから僕は、審判としての知識が少しあります。用意されている状態に関しても。審判達も心構えが出来ていなければなりません。彼らは重要な場所にいて、大きな責任がありますから。僕はその立場になった事から学びました。


T︰興味深いですね。私達はあまり審判員達の事に関しては話しません。議論はします。そしてコーチ達の事もあまり話しません。審判達の事も、ポジティブな感じにはあまり話さない。彼らの仕事や、何をしなければいけないのかという事も。


B︰ボランティアですよ。それがこの会話における全てです。彼らはボランティアです。そして、僕は審判達が当然このスポーツを愛していると思いますよ。彼らには大きな責任がある。そして審判は9人います。その9人の審判達は、大抵は正しく審査しています。だからこそ9人いるんです。そして、責任ある立場にいます。大変です。


T︰簡単には行かないね。

では今シーズンの採点の変更点について話しましょう。GOEが+5から-5です。これまで、ある程度の試合を見てきて、どう感じますか?何故GOEの、クオリティー、質の範囲を拡げたと思いますか?


B︰僕はキーワードはクオリティーだと思います。それこそがこの変更点の鍵です。ルール変更があった時はいつでも、コーチとして、コーチングチームとして、ISUが何をやりたいのかを、受け入れなくてはいけない。僕は彼らがやろうとしている事が好きですよ。何故なら、スケーティングの質を促進している。

 

それは例えば、人々が家の中で座っているような状態を考えてみて下さい。彼らはフィギュアスケートを見ている。彼らはエキスパートではないかもしれないが、フィギュアスケートのエンターテイメント性を見ます。

そして誰かが2度も転倒する所を見るとします。そしてその人物が優勝した。彼らは「理解できない」と思う事でしょう。

そして、また誰かがスケートをする所を見ます。その選手たちはクリーンに滑った。美しく、安定していた。ホームの観客たちは、多分その演技によって感動を受けるかもしれません。そして、その選手達は負ける。

 

つまり、このルールは僕が今話したようなスケーター達に関わる事です。彼らにあるものは、クリーンなスケーティング、安定したスケーティング、そしてスケーティングの質。その全ての要素が重要です。4回転ルッツだけではなく、4回転フリップだけではない。ステップシークエンスやコンボスピン、フロー、スピード、それからコレオステップ。

選手はクリーンなスケートと素晴らしい

質により、勝つ事が出来ます。

 

T︰貴方の指導はどう変わりましたか?例えばここに、5人の選手がいます。彼らは皆ジャンプを降りられる。でもその内の1人が質に関して、ずっと高い点数を取る。

そして2人目は、この選手もまた4回転を降りました。でも同じような点数は取れない。この違いは何でしょうか?どのように指導の詳細を変えましたか?


B︰そうですね。未だにその要素にはスポーツの面、そしてリスクが伴います。それはスポーツを前進させます。このスポーツのアスリート達は、彼らのスポーツを前へと押し進めました。ネイサン・チェンがいて、ユヅル・ハニュウ、ハビエル・フェルナンデス。僕は彼らについて話しています。そして今でも、まだスポーツを前進するように努める必要があります。前へと進むのです。

でもそれは…僕が毎日リンクへ行くと、僕にとっては、全ての質に関して取り組みをします。そして、もしかして1つジャンプを失敗するかもしれません。でもまだ勝てるんです。何故なら、その他の全ての要素の質があるからです。でも練習しなければ。トレーナーはそれに対応して鍛錬を課します。それが僕がやって来た事です。

それとトランジションに関する全て、ステップによるつなぎ。我々が初めからずっとやり続けている事です。


T︰貴方のスケーティングはそのような滑りでしたよね。


B︰僕はそういう選手だったと思いますね。クールな事をやっていたヤツでしたよ。

ええと、ロングプログラムが4分半から4分へ変わった事は、実際多くの男子選手にとって更に厳しくなりました。それで僕が気づいた事は、僕達のスケーターは動きの中で振付をする事に慣れている、という事でした。

次の要素をやって、振付をやる。彼らは芸術性のために立ち止まったりする必要は無いんです。彼らはそういう事は大丈夫だと理解しています。

僕が思うのは、家で人々がフィギュアスケートを見ていて、このスポーツがもっと明快になるという事です。実はもっと理にかなっていて、より良い観客を得る事になる。それこそ必要な事です。

 

T︰それでは少しジュニア勢の話をしましょう。我々の仕事はジュニアを担当していますから。とてつもない事が起き続けました。身体的にも心理的にも。貴方が見た事のある若いスケーター達の事です。ジュニア勢の進歩について、何かコメントはありますか?


B︰僕はジュニアグランプリに行くたび驚きます。スケーター達がやっている事を見ると、これは、このイベントはロシアナショナル?それともジュニアグランプリファイナルかな?と。

でも、毎年本当に…つまり、女子の場合も同じ事なんです。ここに若いスケーター達がいて、彼女達はジュニアです。まだ身体が変化していない。そして彼女達はこのスポーツを前進させています、ジュニアの中でね。それは、見ていて興奮しますよ。そう言わなきゃ。かなり興奮しますね。

試合を見に行ったら、ジュニアの女子選手達が4回転ルッツを跳んでいる。それは、現時点においては、素晴らしい。そういう姿を見るのは素晴らしいです。彼女達の身体的なものが素晴らしいジュニアスケーターにさせています。

そして男子はというと、色々な国が混ざり合っているのを聞くのは良い事です。


T︰スタイルも、個性も違いますね。


B︰はい。年齢も違うし、スタイルも個性も。ジュニアスケーター達が+5の質のものを持ち合わせているかどうかは分かりません。若い人には難しい事です。

僕は覚えているんですが、僕が若い頃には、質の事なんて全然考えていませんでした。僕が考えていたのは、3Aを跳ぶんだ、て事です。つまり、それが若いスケーターです。そういうものなんです。ですからジュニア選手の予想とかは分かりませんが、でも見ていて楽しいです。


T︰予想というのは、良くなる予想ですね。


B︰良くなるでしょう。沢山の人が目を見開いて見ています。このイベントはクールですよ、シニアとジュニアが一緒にやりますからね。


T︰そうですね。誰かが言及していましたが、その点が本当に楽しみです。ジュニア選手にとって良い事ですね、シニア選手達が出てきて、見られますからね。シニア選手にとっても良いでしょう。ジュニア勢が出てきて、一体何が起きているのかを見るというのは。


ではあと1つ質問をします。若くて凄く才能あるスケーターが人生における変化を迎える時、身体的に、心理的に。彼らを導くためにどのような技術的なチャレンジがありますか?


B︰まず私がコーチとして教育者として、選手達を一人の人間として扱わないといけません。私や、私のチームにとっては…

そうですね、まずは、私達は素晴らしい旅をしたいものです。私達は彼らに上手くやっていって欲しいと思いますし、彼らが出来る最高のものが、出来て欲しいのです。それはもしかして、何かしらの凄いメダルという結果になるかもしれない。

でも旅の終わりを迎えて、ここから離れ、普通の生活に戻る時には、彼らは何かを私達から学んできたのです。彼らはこのスポーツを愛していて、ここで得た全てのツールを上手く使うことが出来るのです。彼らが何をやりたいとしても。

彼らは大学に行って、医者や弁護士、経済人なったりする。家族もです。どのように家族を良い人々にしていきたいのか、と思うものでしょう。そして私達と共に過ごした時間があります。それが僕にとっては、本当に大切な事です。

だから、そういう事を毎日注意して見ています。彼らの気分はどうかとか、どう感じているのか。今の子ども達には多くのプレッシャーがあります。ソーシャルメディアがありますから。それと言うのは…僕はやっていませんから、何かしら事実があった後に読まないといけない。

それは、生活の少しばかりの事ではなくて。人々は練習の事やヘアカットの事、コスチュームの事を読んでいます。練習が今、"現在"はどんな感じか、という事も。練習がどうだったか、ではないんです。

僕は、どうやって子ども達はこれと向き合っているのか、と思うんですよ。制限したりするようになっています、多分ね。


T︰それから、彼らは時々、スケートをしていない時に更新しますね。何か別の事を更新したりとかも…まぁ分からないけれど。でも、それは彼らの生活の一部分になってる。


B︰そうですね。でも僕がスケーター達や両親に言うアドバイスというのは、そこから離れた時間を持ちなさい、という事。何故なら人を傷つけてしまうものだから。

それと、良い事もありますね。何かスケートのプロモーションのようなもので。沢山の素晴らしい人々がいます。素敵なプログラムについて話したり、或いは素敵なドレスの事だったり…そうですね…


T︰良い事も悪い事もありますね。

では、ちょっとした質問をします。

指導で一番大変な部分は?


B︰なんて事を聞くんですか!(笑)


T︰ちょっとした質問ですよ、答えは分かりませんけど(笑)


B︰インタビューそのものです!何故なら、受け入れないといけない。僕は大人だ。物事に沿って受け入れていかないといけません、大人になっても。

僕達コーチは、ベストでいようと努めます。アスリートへの関心が一番にあります。この人々を育てたい、素晴らしいアスリートにしたい、それから、裏側で起こる多くの事を世話しないといけません。アスリートを育てるには、多くの事を管理する技術が必要になってきます。彼らが重荷を自分達で背負わないように。

時々は上手くいきません、時には選手が離れて行く事もあります。それは、厳しいです。それが僕にとって一番大変な部分です。僕は彼らと毎日仕事をするのが大好きで、プログラムを通して彼らの背中を押す事も大好きです。僕は、誰かが初めてアクセルを降りるのを見る事が大好きなんです。

 

誰かがミスなくランスルーをやったら、僕達のクラブには大きな鐘があるんですけれど。鐘が鳴るんですよ、誰かがミスのないプログラムをやった時にです。そういった日々は、ただ、始まって行きます。そしてまた鐘が鳴る。そしてその次にもまた。

それは素晴らしいエネルギーです。僕とトレイシーは顔を見合わせて、"僕達はここで正しい仕事をしているね!"って。


T︰なんと素晴らしいオフィスでしょう。仕事をするには最高ですね。とてもポジティブで、勤勉です。

それと私が聞きたいのは…貴方の両親がどれほど素晴らしいのかを知っています。素晴らしい両親達です。そして両親というのは、若い人には厳しく批判します、一般的にです。キャリアを支援するために。

今子どもがいる人々に、どのようなアドバイスや提案をしますか?このようなジュニアグランプリ等のレベルにいる子ども達がいる場合です。とても高いレベルです。

何故なら両親達は感じる事でしょう、自分達も感情的なものを通り抜けて行く事をです。それはきつい。本当に厳しいものです。


B︰そうですね。そこには良いラインが敷いてあります。コーチでいる事と、彼らがスケートで何をしているか、の担当をしているラインです。でも、両親には両親の役回りがあります。彼らが何を必要としているか、それは非常に明確なコミュニケーションが必要となります。両親の役回りとは何なのか、誰が担当の係なのか。僕が感じるのは、両親は両親でいる必要があるという事です。でも大変です。僕はただ想像出来ますが、本当に大変な事です。

 

あまり上手くいかなかった日のスケーターがいたとします。試合が良くなかったとか。恐らく、両親達はそれに対する答えは持っていないでしょう。

父親は"良いスケートだったよ"と言おうとする。すると、"いや、全然"と言われる。それとも、"スケート、良くなかったね。"と言おうものなら、"何だよ!"となってしまう。

両親には勝ち目のないシチュエーションな訳です。でも、役回りを分担するように努めています。両親とは役を分かれておきます。


素晴らしいスケートの両親達というのは、よく支援をして、よく聞いて、良い時を祝ってあげる人々です。

僕の両親は、他の両親達よりも素晴らしかったんです。自分達の仕事に専念して、常に前向きでいようとしていました。僕の両親は、ただ周りにいてくれたんです。他の両親達もそれを見て、理解したようでした。


T︰貴方の母親と父親は、理想的な両親達ですね。


B︰その通りです。


T︰彼らは次世代の両親達も助けていた訳ですね。

では、もう少し簡単な質問を。

好きな食べ物は?


B︰うーん…パスタです。僕はパスタ・ガイなんですよ。ポロネーズですね。


T︰(笑)OK。好きな映画は?


B︰(聞き取れませんでした)


T︰OK。好きな音楽のタイプは?


B︰何でも。僕はDill Diamondパーソンなんだよ。Dill Diamondで聞いてるって言うのを恥ずかしいと思ってはいないよ(笑)


T︰(笑)では、コーチング以外でやるのが好きな事は?


B︰僕は北の方にコテージを持っているんです。もしコーチングをしていない時は、2時間ドライブしてコテージに行きます。そこで友人達と過ごすのが大好きなんです。湖のほとりでバーベキューをして…リンクから離れて自然の中にいる事が好きですね。

 

T︰選手時代に好きだったスケーターは?


B︰選手時代に好きだったスケーター…それはきっと、ロビン・カズンズです。彼はちょうど引退してしまった所だったんですが。でも僕はショーに一緒に出ました。そこで僕は、彼のシングルアクセルの物まねをしようとしていました。僕が思うに、僕はそれを成し遂げましたね。

 

T︰最後の質問です。最も尊敬するコーチは?今の時代で、今の時代のです。


B︰えぇ?(ひと息つく)

沢山の理由から、沢山の素晴らしいコーチがいます。うーん…

ロビ・ウォリアと言わなければ。彼を見ていると、エドモントンでひっそりと仕事をしていて、ケイトリンを育てて、世界チャンピオンにした。本当に凄い事です。そして、それは偶然の出来事ではなかった。

彼には多くの忍耐がありました。そうです、ロビにしましょう。


T︰素晴らしい選択です。ブライアン、有難う。このインタビューだけではなくて、貴方がこのスポーツでやってきた事についてです。

私は覚えていますよ。私は驚いたんです、貴方がどれほどトランジションをジャンプの間に入れていたのか。そして代表選手であるスケーターとしての品格、コーチとしても同様です。

このスポーツは良くなっていきました。貴方がスケーターやコーチをしていたからです。ISUから、そして全てのグランプリを見ている人々から、有難う御座います。ブライアン・オーサーでした。

 


終。