ステファン・ランビエールさんが宇野選手との仕事、四回転ジャンプ等について語る。

少し前に、宇野昌磨選手の新コーチにステファン・ランビエールさんが決まった、と発表がありました。そのランビエールさんのインタビューです。2019年ロステレコム杯の時のものです。

ロシア語→英語→日本語です。

英訳された記事はこちらです。

 

I→質問者

S→ステファン・ランビエールさん

 

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ステファン・ランビエール︰私はフィギュアスケートへの情熱に突き動かされます。もし私のスケーターがそれを共有できれば、レベルは関係ありません。】

 

I︰モスクワのグランプリに何人のスケーターを連れてきましたか?

 

S︰ここでは3人のスケーターと仕事をしています。デニス・ヴァシリエフス、宇野昌磨、そして白岩優奈です。

 

I︰宇野昌磨との協同をどのように語れますか?

 

S︰フランスのグランプリの後に、彼は僕の所へ来ました。彼は日本に戻りたくはなく、それと私のアイスリンクのそう遠くない所に滞在場所を決めていたからです。それで私達はここへやって来ました。私達には何年もの協同の経験があります。ショーでの沢山のナンバーでの蓄積があるのです。私は彼の振付師でした。それから幾つかのショーナンバーでは彼のパートナーでさえありました。私達は良い関係を築いていました。だからこそ私は自分の仕事を彼に申し出たのです。

 

I︰そうすると、彼が貴方に助けを求めた時は、驚きではなかったのですね。

 

S︰昌磨は私のスクールへ9月に数日間、訪ねてきました。彼は私の指導方法を知っています。そして、彼は私のグループの雰囲気をとても気に入っていると思います。ですからこれは彼にとっては、かなり快適なオプションになったのでしょう。

 

I︰宇野は英語を話しません。どのように彼とコミュニケーションを取りますか、共通の言語を見つけるとか?

 

S︰私達は多くのイメージのレベルで仕事をします。それから私は必要な動きを自分で見せようとします。付け加えますと、彼は少し単語を知っています。例えば、方向を指し示す時などです。ですから彼は僕の指示を理解しています。右か左か、などは。そのように私達はコミュニケーションを取ります…少しの単語の助けを借りながら。ただ主要な事としては視覚化した様々なものを通して、イメージを通してです。

 

I︰五輪の銀メダリストと仕事をする機会があるコーチというのは、そう多くはありません。このアスリートを支援する事は貴方にとって特別に名誉な事だと言えますでしょうか?

 

S︰私はどのような形においてでも指導をする事が好きです。私はフィギュアスケートへの情熱によって突き動かされます。もし私のスケーター達がそれを共有しているなら、彼らの初めのレベルは関係ありません。

 

(中略)

 

I︰指導者の世界では、誰が貴方の模範ですか?誰にアドバイスを求めますか?

 

S︰多くのコーチ達が私を助けてくれます。 私自身が一緒に取り組んでいたコーチもいます。濱田見栄、ジスラン・ブリアン、ブライアン・オーサー。バレエやモダンダンスの先生達、ピラティスのコーチ。専門家達も同じくオフアイストレーニングに参加します。特別な範囲の深い知識を持つ人々に囲まれている事が好きです。それで私は自分のスケーター達にとって成長するための最上の状態を作り出す事が出来るのです。

 

I︰貴方もパフォーマンスを続けていますね。いつ練習する時間がありますか?

 

S︰大抵は毎日1時間、僕の時間があり、氷上だけでなくジムでも過ごします。やはり成長する事は可能なんです。精神面も含めて、活発にオフアイスのトレーニングをする事や動きの練習をする事により、氷上で演技が出来ます。

 

I︰最近のフィギュアスケートのトレンドをどう感じていますか?貴方の時代には4回転ジャンプは珍しかったですよね。

 

S︰でもそのジャンプは既に行われていました。覚えています。2002年を振り返ると、ソルトレイクシティ五輪メダリストのティモシー・ゲーブルは3度の4回転ジャンプをプログラムに組み込みました。そうすると、この練習にはかなり長い時間がかかったでしょう。フィギュアスケートは驚くべき過程を経ています。私は進化の熱烈なサポーターです。私自身が新たなフロンティアを見つけたく、限界に挑んでいます。従って、私は同じく成長している全てのスケーターを賞賛します。

でも私は4回転ジャンプがそんなにユニークだとは思いません。チェコスロバキアのスケーター、ヨゼフ・サボフチクが80年代に演技をしていたのを、私は覚えています。それから、ブライアン・オーサーもです。これはもう新しい事では全然ないのですが…実際かなり古いです(笑)非常に印象に残るものなんです。しかし、空中で4回の回転をする事に加えて、演技解釈のやり方には他に多くのものがあります。

 

I︰例えば?

 

S︰音楽を通して、主要なキャラクターを通してです。私においては、フィギュアスケートとは芸術のようなものです。人が書こうとしている本のような。貴方がスケートをする時、貴方は自分で責任を持つ確かなストーリーを書くのです。そしてもし貴方がストーリーの中で4回転ジャンプに集中したいのなら…まぁ、それでいいでしょう。でもスケーター達は本格的なストーリーを創り上げる必要があります。全ての詳細、全てのわずかな陰影にも取り組まれたものです。私はこのスポーツに魅了されています。卓越した美学があるからです。はい、発展は重要な事です。でも色々な違った方法で達成できるのです。

 

I︰女子シングルの4回転ジャンプはどう思われますか?これを持つ選手にとって、大きな強みでしょうか?

 

S︰公平な審判において、彼女達はそのような大役を演じるべきではありません。そして、これがたとえ本当に有利な点であっても、もし選手が4回転ジャンプとトランジションのどちらも、その他全てをも出来るなら、それに何か問題でも?私は発展の限界を定義づけたりしません。

 

I︰お気に入りのスケーターを上げて頂けますか?誰か今、最もバランスのとれたプログラムを持っていますか?

 

I︰沢山います。この前マライア・ベルのトレーニングを見ました。彼女はまるでスポットライトの下で滑っていました。素敵な光景です。彼女の身体の全ての細胞があるべき場所にあったように見えました。彼女のスケーティングはダイナミックさとナチュラルさの両方があります。私は彼女の練習を素晴らしい喜びと共に見て、多くの感銘を受けました。彼女の場合は、多様な技術と芸術の要素について私達は話す事が出来ます。私は正確さと技術を含んでいる、更に優美さのコンビネーションが大好きです。多くのスケーターがそれを持ち合わせています。

 

I︰2015年、あるTVチャンネルのインタビューにおいて、貴方はロシア語を習うつもりだ、と話しましたね。

 

S︰はい。時々デニスに単語を教えて欲しいと頼みます。でも私の年齢では、かなり難しいです。私は20歳ではありません。それから、フルタイム・レッスンの仕事量が妨げになります。

 

I︰貴方のモスクワとの連携は何でしょう?もしかすると2005年世界選手権での勝利ですか?

 

S︰もしかするとフィギュアスケートとの連携でしょうか。私はロシアのフィギュアスケート学校に感嘆しています。

 

I︰貴方の学校はロシア人スケーターにも門戸を開いていますか?

 

S︰もちろんです!私は既にミハイル・コリャダ、エリザベータ・トゥクタミシェワ、アレクサンドル・ペトロフと仕事をしました。アレクセイ・ミーシンがスケーターの指導を助けてくれます。私は彼に対して非常に大きな尊敬の念を持っています。彼は素晴らしい人であり、フィギュアスケートの優れたマスターであります。

 

 

終。

 

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ランビエールさんが学校を開校したと聞いた時は、まさかあんなに規模の大きなものだとは思いませんでした。やはり、あれほとの大きさが無いと、沢山のスケーターも募集出来ないし、トップ選手の受け入れは更に難しいですよね。一気にあの規模の学校…凄い事ですね。

これからも試合でランビエールコーチの姿を見るのが楽しみです。宇野選手は英語でのコミュニケーションは大変かもしれませんが、これからの事を考えると少しでも出来るようになった方が絶対に良いので、プラスになると思います!多分ある程度は聞き取れているけれど、何か言おうとすると出てこない…て感じじゃないでしょうか。でもこれは慣れて行きますから、自然に少しずつ出来るようになると思います。

色々なスター選手達がコーチとして振付師として、解説として登場する…色々な楽しみが試合にあって、フィギュアスケートファンとして嬉しい限りです(*´꒳`*)                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     

(2018年)西山真瑚選手がスケート人生、表現について語っています。

西山真瑚選手が、平昌五輪の少し後にインタビューに答えていました。ジュニアの選手のインタビューは新鮮だったり可愛らしかったり、また、とても意志の強さを感じたり、すごくパワーがもらえます。コーチ達の複雑な言い回しから少し離れて…ちょっと新鮮なインタビューを、一部を抜粋して訳してみました。

記事はこちらです。

怪我の治療のため日本に滞在中の時のインタビューのようです。

I→質問者

S→西山真瑚選手

 

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【西山真瑚︰西山真瑚はクリケットクラブで成長する。】

(前略)

[個人的ストーリー、そしてカナダへの移行]

 

I︰怪我の具合はどうですか?

 

S︰大丈夫です。もうすぐトロントへ戻ります。そして完全な練習を始めます。僕のコーチが平昌五輪からトロントへ帰ったらすぐにです。それまでは、ジャンプ抜きでスケーティングの練習に集中します。

 

I︰貴方自身の事について話して下さい。どうやってフィギュアスケートを始めたのでしょう!

 

S︰可笑しな話です。僕の父親が、家族でレッスンのためにアイスリンクへ行く事を提案しました。僕の最初のコーチ、川越正大先生がフィギュアをやる事を僕に尋ねたんです。日本では、フィギュアスケートの事を言うときに多くの人が"フィギュア"とだけ言います。でも僕はロボットとか車みたいな図形で遊ぶんだと思いました。それで僕は喜んで言いました。「はい!」と。僕が驚いた事は、僕が彼に会いに行った時、僕は彼がフィギュアスケートの事を言っていたと分かった事でした。でも僕はどんどん成長していき、習う事が好きになりました。当時の僕は6歳でした。

 

(中略)

 

I︰貴方は今でも学校の問題で何度か日本に戻る必要がありますか?

 

S︰はい。試験やその他の事で、年に3回くらいです。でもその事は僕のトレーニングをそんなに邪魔するものではありません。学校は色々なやり方で僕を助けてくれます。とても感謝していて、不満はないです。それから僕が日本にいる時には、神宮スケーティングリンクで樋口豊先生と練習をしています。

 

I︰クリケットクラブへ行く前には、彼と練習をしていましたね。どのように(クリケットへ)行く事を決めたんですか?

 

S︰樋口先生が僕に行く事を提案しました。彼とブライアンは友人で、樋口先生の元で練習を始めてから夏のキャンプにクリケットクラブへ行った事があったんです。僕はどのような場所かを知っていました。そして勿論、将来そこで練習する事に憧れを持っていました。

 

(中略)

 

I︰カナダへは一人で行くんですか?

 

S︰はい。僕はとにかく頑張るための決意を固めました。僕の家族が、僕をカナダへ行かせるという大きな決断をしてくれたからです。でも本当の事を言うと、最初は家族がとても恋しかったです。特にカナダに着いた直後には。今でさえ、時々そういう感覚があります。でも僕はすぐに回復しました。もしかすると1週間で。

 

I︰1週間!早い回復ですね、そうでしょう?

 

S︰多分、他に選択肢が無く、進まないと、と感じたからです。

 

I︰カナダのクリケットクラブで友達はできました?

 

S︰友達を作るのは簡単にはいきません。ジュンファン(・チャ 韓国)と友達になりたいです。でも五輪シーズンになってから、彼はこのゲームに本当に集中していました。だから今年は彼を良く知りたいと思います。僕達はトレーニング・セッションを共にしています。勿論、彼は僕よりずっと上手い。そして僕は彼を見ていると鼓舞されます。例えば彼がトリプルアクセルをやる時、僕はまるで「わぁ、ああやって彼は跳ぶんだ。僕もああいう風にやろう。」という感じです。

 

I︰クラブには他に日本人スケーターはいますか?

 

S︰羽生結弦選手と僕だけ、だと思います。ええと、カナダに住む日本人が複数いますが、競技会に出場するレベルは数人です。

 

[コーチ、トレーニング、そしてインスピレーション]

 

I︰ブライアンは初めから貴方のコーチでしたか?

 

S︰はい。樋口先生が彼に僕の事を見てくれるように頼んだんです。だから僕がそこへ着いてからすぐ、彼は僕を教え始めました。でもトレイシー・ウィルソンコーチも僕のスケーティング技術に良く取り組んでくれます。多くの時間を彼女と過ごします。それからジスラン・ブリアンコーチがジャンプを教えてくれます。そして僕のスピンのコーチが、僕の事を見るために全日本ジュニアに来てくれました。

 

I︰特別なスピンのコーチがいるんですね!何人のコーチが教えているのでしょう!

 

S︰クリケットクラブには沢山のコーチがいます。僕には全員を見分けることさえ出来ません。でも僕のチーム設定には6人のコーチがいると思います。かなり凄い事です!トレイシーがスケーティング・レッスンでスケーター達と仕事をしていて、それから彼女は各スケーターだけでなくコーチ達にも説明します。例えば、多くのスケーターがアイスを共有している時のストローキングについてです。ですから全てのコーチが共通の認識を持って、一緒に働いていると思います。

 

I︰では基本的にブライアンが各スケーターの周りのチームを作るのでしょうか?

 

S︰そうだと思います。とても便利です。全ての方向から指導を受けるのですから。その上、僕が怪我をした時はクリケットクラブ付きの整形外科医が即座に診察してくれました。彼は僕の将来的な治療についてコーチとも深く話しました。

 

I︰以前トレイシーがブライアンを支援しようとしているという事を言っていたのを聞きました。彼らはお互いにバランスを取り合おうとしています。そういうものは感じますか?

 

S︰はい。感じます。彼らがそれぞれ別の場所にいる時でさえ、同じ事を言います。トレイシーが僕のスケーティングを厳しく見て、沢山アドバイスをくれます。クロスオーバー等です。僕の事を見て、言いました。僕のやり方ではプログラム後半に十分なエネルギーが残らないと。その事を沢山話していました!僕は少し楽にやる必要がありました。でも同時に僕のスケーティングのパワーと共に身体を効果的に使う事です。

 

I︰彼女が言っている事を理解していましたか?

 

S︰あー、いいえ。僕の脳みそは彼女が言った事を理解しましたが、最も難しいのは僕の身体を従わせる事です。未だに出来ません!結弦選手やハビエル・フェルナンデス選手、ガブリエル・デールマン選手はそれをいつも非常に素晴らしくやるので、彼らを注意深く見ています。でも未だに難しいです。もっと彼らのようなスケートを目指さなければいけない事は分かっています。

 

I︰どんなスケーターになりたいですか?ユヅルに憧れていると聞きましたが。

 

S︰はい、そうです。でも僕は特定の憧れのスケーターの名前は上げたくありません。僕がなりたいのは、心の内側から溢れ出て来る感情を表現するスケーターです。僕は観客が何度も何度も見たいと思う演技をするスケーターになりたいのです。クリケットクラブで、試合で、そしてまたテレビを通して、沢山の素晴らしいスケーターを見てきました。僕が本当に感動したスケーターは力強い表現力を持つ選手です。もちろん、ゴージャスなジャンプを跳ぶスケーターはとても格好いいですし、確実に僕には強いジャンプが必要です。それでも表現は僕にとって最も重要な部分です。

 

I︰最近見て感銘を受けたスケーターはいますか?

 

S︰ジェイソン・ブラウン選手です。彼は全くもって優れています!彼のスタイルは僕とは少し違いますが、もし貴方が誰に最も感動したのかと質問するのなら、彼の名前を最初に上げます。それと四大陸選手権のミーシャ・ジー選手です。素晴らしかったです!

 

I︰貴方のトレーニングの養生法はどんな感じですか?

 

S︰クラブには、僕が一緒に取り組んでいるピラティスの先生が沢山います。僕は氷上で1日3時間を過ごします。午前に1時間と午後に2時間です。その時間にブライアンは30~40分を僕のために取ります。それでも、彼が他のスケーターと練習している時でさえ、彼は時折ですが僕の方を向いてアドバイスをくれます。ジャンプの跳び方や何か間違った事をしたと注意したり。僕は常に彼に見られていると感じます。ですから集中を失くす事はできません。スケーティングの後にはオフアイスのトレーニングがもう1時間あります。

 

[プログラムと表現]

 

I︰本田真凜がかつて"ロミオとジュリエット"について言っていましたが、彼女はストーリーを読んでいなくて、映画も見なかったと。彼女はあの有名なストーリーを殆ど何も知りませんでした。ただ愛の物語なのだと。彼女が求めたものは、音楽を感じる事と、彼女自身の愛の物語を表す事でした。これは貴方の感じ方ですか?

 

S︰はい、そうだと思います。僕は感受性に重きを置きます。また顔の表情ももっと使いたいのです。それは僕がノービスの頃には簡単な事でした。でも今は、何故か分かりませんが、もう簡単だと感じません。僕が目標とするのは、秀でた表現力と同時に高いスケーティング技術があるスケーターです。そして、そういうスケーターに僕はなれるんだと信じています。僕は指先までの豊かな感性のある、美しい演技を見せたいです。

 

I︰貴方は素晴らしく感性が豊かです。プログラムのための貴方の感受性をどのように磨いていますか?

 

S︰かなり率直に言うと、何か特別な事はしません。僕は感じたものを表したいです。僕が音楽を聞いた時に、内側から起こる何かを。僕の理解を深めるために読書はしないです。または考えすぎない事です。僕が求める事は僕の内側から出て来るものを表す事です。当然、僕達が音楽を選ぶ時には、その音楽の持つ背景等を学ぼうとします。映画を見るかもしれません。でもそれだけしかやらないです。僕が見せたい事は音楽そのものから感じたことなのです。

 

(中略)

 

I︰貴方の昨シーズンのショート、"ポル・ウナ・カペーサ"もまた素晴らしかったですね。

 

S︰あれは僕が本当に滑りたかった音楽ではありませんでした。でも一度僕がその音楽で動き始めたら、これは大正解だという事を見つけました。その曲で滑る事は本当に快適だと感じました。でも2シーズンやりましたので、今は変えないといけないです。タンゴが大好きなので、来シーズンにはまたタンゴの曲を選びました。

 

I︰フリープログラムはどうでしょう?パガニーニの狂詩曲ですが?

 

S︰デイヴィッド・ウィルソンが数曲を提案し、僕がこれを選びました。これは長い間、僕がやりたいと思っていた音楽でした。これはクラシック中のクラシックというようなものです。でも僕がやり始めたら、とても難しいと分かりました。自分自身でストーリーを作り上げなければいけなかったのです。そして解釈に取り組みました。もっと言うと、僕はデイヴィッドの難解な振付に対処しなければなりませんでした!はい、とても挑戦的なプログラムであり、大好きです。

 

I︰ユヅルもまたこの音楽でジュニアの頃に滑りました。貴方の考えの裏に、それがありましたか?

 

S︰初めは、そうです。僕は彼の演技にとても感銘を受けました。そしてその事を考えないというのは、とても難しい事でした。僕は彼の演技を繰り返し見ました。でもある日気づいたんです。僕は自分のパガニーニを見つけなければならないと。僕はユヅルを見るのを止めて自分の演技を見返し、そして自分のバージョンを成長させようとしました。

 

(中略)

 

[表現VSジャンプ]

 

I︰5つの3回転ジャンプを、いつ出来るようになりましたか?

 

S︰13歳くらいだと思います。でもジャンプは安定していませんでした。それは今でもそうです。1つの理由としては、僕は精神的にまだしっかりしていないんです。それから別の理由としては、ジャンプに集中し過ぎているからです。僕はノービスでは良い結果を出しました。でもジュニアで競うには、もっと強いジャンプが必要です。僕はいつも思っていました、ジャンプ、ジャンプ、ジャンプと。でも僕がそうなると、身体は硬直してしまいます。もし僕が代わりにスピードを使えたら、考え過ぎる事なくジャンプに行けます。成功する確率は上がるでしょう。それでこの経験を通した僕の結論は、もっと表現に集中して、もっと良くジャンプを跳ぶ事です。

 

I︰浅田真央は、タチアナ・タラソワがかつて彼女に言った事を話しました。表現とは技術なのだ、と。もし貴方があと3センチ先に手を伸ばしたら、それは感情を見せる時に大きな違いになると。

 

S︰表現は技術…そんな風に考えた事はありませんでした!でもおそらく真実です。僕はまだ感じていない事ですが。多分、僕はまだそのレベルには達していないんです。僕にはまだ学ぶ事が沢山あります!

 

I︰貴方が今取り組んでいるスケーティング・チャレンジは何でしょう?

 

S︰僕にはトップレベルで競技するための多くの問題があります。もっとジャンプに取り組む必要がありますし、いつか4回転をやる必要があります。でも昨シーズンはジャンプに集中し過ぎていました。クリケットクラブに着いてからすぐに、僕は何かを見せなければいけないと思いました。皆が気づくような何かをです。そして、それはジャンプでした。それから僕はその事に取り憑かれてしまったような感じだったんです。でも僕が空いた時間に沢山の演技を見たら、僕は気づきました。僕にとって最もパワフルな演技は表現力のあるスケーターによるものだったんです。彼らの感情の表現や、良い音楽的解釈などです。

その後に、僕は自分自身に再び約束しました。何よりも表現力に重きを置く事です。ジャンプはとても、とても重要だと分かっています。しかしながら、僕はジャンプが必要だからジャンプの練習をします。そしてそれは僕の最大の挑戦です。でも僕はジャンプに圧倒されたり、他の大切な事を見失ってはいけないのです。僕がやりたい事は、スケーティングを通して何かを表現する事です。そしてそれを見る人全てに届ける事です。僕の心と魂です。これを受け入れている間は、安定性を上げる事に取り組む必要があります。でもジャンプは僕の最大の目標ではありません。

 

[結びとして]

 

I︰暇な時間には何をしていますか?

 

S︰トレーニングの後は1日1時間の勉強をします…それから家でリラックスします。日本よりも暇な時間がもっとあるので、僕がやりたいように時間を使えるんです。自分でストレッチのトレーニングをやるとか。

 

I︰読書や、映画を見たりはしないんですか?買い物に行くとかは?

 

S︰いいえ、全然。買い物はそんなに好きではないです。本当に何かを買う必要がある時だけ行きます。くつろいで、何もしないのが好きです。それに沢山眠ります。フィギュアスケートのビデオを見たりもします。若しくは他のスケーターの練習を見るためにクリケットクラブへ行きます。多くの見る価値がある選手がいますし、僕がそこにいる時は時間があっという間に過ぎてしまいます。

 

I︰貴方には内なる表現力の世界を成長させる時間もあるのですね。

 

S︰ええまぁ…(笑)

 

I︰貴方の目標を教えて下さい。

 

S︰僕の来シーズンの目標はシニアの全日本に出場する事です。それは僕にとっての本当のスタートになると思います。でも五輪に行ける事も願います。そしてその前にトップレベルの国際大会に出場する事です。四大陸や世界選手権のような。

 

I︰貴方にはもう多くのファンがいます。彼らをどう思いますか?

 

S︰とても有り難いです。僕のようなスケーターを支援してくれて、本当に感謝しています。そして僕の心と魂を忘れる事なく応える事を、心から願っています。でも僕の演技の中にもっと熱意を見せたいです。そうしたら全てのファンが喜んでくれるでしょう。それから結果も出したいと思います。

 

終。

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2018年の西山真瑚選手のインタビューでした。まだアイスダンスは始めていない頃ですかね。年齢的にもまだまだ子どものはずですが、しっかりと自分の考えを持っていて、凄いなと思います。

海外への移籍は本当に大変ですよね。国内でも大変でしょうに、外国へ行くとなると、選手の年齢を思えば自分の考えだけでは絶対に行けません。家族の助けと理解が絶対的に必要になります。そうでなければ絶対に行けませんから。まずはお金の問題があります。そして20代ならまだしも10代だと生活能力がまずありません。多少あったとしても、生活していくために必要な手続きが取れないという問題があります。未成年ですから。それを考えたら…西山選手のご両親は本当に本当に悩んだと思います。でも選択は間違いではなかった。省略した部分に、最初は家族は反対したがコーチが詳しく説明し、受け入れてくれたという経緯を話していました。

海外へ行く時、西山選手本人もご家族も、周りの人から何か言われたりしたかもしれないです。私が社会人になってから、ただ単に海外へ行くのを決めただけでも、数人の知り合いから酷い言葉を投げ掛けられましたから。馬鹿じゃないの現実的になれ、とか、年齢を考えろとか結婚出来なくなるとか(実際まだしてないけどw)…そりゃもう言われましたよ。でも全く後悔していないですし、実際にその後帰国して、28歳くらいから喘息がどんどん酷くなって行って、なかなか思うように行動が出来なくなってしまいました。私が海外へ行った時は25歳。その時に行かなければ、恐らく不可能だったと思います。自分の健康面を考慮すると。あの時に外国に行った経験があるから、今このブログを書けるのだと思っています。それから、色々な人にも出会えたし色々な考えも聞けたし、人間は追い詰められたら出来るという事も学びました(なんだそれ)。それと、人は信じてはいけないという、なんか悟りみたいなものも。悲しいですが…でも本当です。

 

なんか書いてたら懐かしくなって来てしまったのでこの辺で止めます( * ॑꒳ ॑* )でも1つだけ…、西山選手も憧れる羽生結弦選手ですが、彼も喘息ですね。私が羽生くんを初めて知ったのはジュニアグランプリで優勝した時でした。その時に、「なんて素敵な選手が出てきたんだろう、男子も未来は明るいなぁ」とか思っていました。実は宇野昌磨選手はもっと前から存在を知っていたんですが、羽生選手は知らなかったんです(当時、"宇野くんって何歳?まだジュニアじゃないの?"とググった思い出があります)。

そして羽生くんがシニアに上がる時に、何かの特集で喘息だと知りました。自分と同じ病気を持っている15歳の男の子が、あんなに激しい動きをやって跳んだり転んだりガムシャラに頑張っている、その姿を見て、私はその時に決めたんです。例え何があっても羽生くんを応援する、と。まさか五輪で金メダルを取るとは思いませんでしたが…!

でも、羽生くんの素晴らしい演技と、彼の発する言葉や態度など、色々なものから、彼に憧れるスケーターが沢山出てきていますね。日本だけではなく、海外からも出てきているのは凄いなといつも思います。西山選手もアイスダンスとシングル、両方をやりながら、どんどん成長して行っていますね。特にアイスダンスでの飛躍は、ちょっと感動的でした。今後どうするのか分かりませんが、アイスダンスでもトップに駆け上がって欲しいなと思います。

 

ジュニアの選手の言葉は、なんだか瑞々しいというか。質問も違ってきますが、凄くパワーが貰えるんですよね。読んでいて、とても元気が貰えます。時々、こういう訳もやろうかなと思いました。それと、質問に時々「!」が付いてますが、あれは記事に載っていたのをそのまま書きました。なんか圧が強そうなインタビューですね(笑)

西山選手はチャ・ジュンファン選手とお友達になれたんでしょうか…!?お友達とまで行かなくても、会話が色々できていたら、いいですね。

 

 

 

(2018年)ハビエル・フェルナンデスさんが4回転、練習、五輪について語る。

また今回も、少し前のインタビューです。2018年の1月、欧州選手権の時のハビエル・フェルナンデスさんのインタビューを、一部を抜粋して訳してみました。平昌五輪の少し前のものです。

 

 記事はこちらです。

 

I→質問者

J→ハビエル・フェルナンデスさん

 

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ハビエル・フェルナンデス︰何故、更なる4回転を加えるのでしょう?】

 

I︰多くのスケーター達が、プログラムに更に4回転を加えています。このトレンドをどう見ますか?

 

J︰プログラムを複雑化するために、2つの違うやり方があります。ジャンプに難度を更に加えるのか、若しくは僕の場合は、要素の間にもっと複雑なトランジションをやるのかです。どちらのやり方も、扱い辛いものです。もし選手がプログラムに4回転を更に加えたら、もっと疲れる事になるでしょう。身体はもっと苦しくなり、多くのリスクを抱えます。若いスケーター達が皆一斉に多くの4回転を加える時、彼らは身体を調整する事を考慮していないのです。そして長い間プログラムにゆとりや自信を感じていない。だからこそ時々僕達は沢山の怪我を見るのです。複雑です。ただフリープログラムに4つも5つも4回転を投げ入れる事よりも、一歩一歩進む事が良いと思います。そして何が起きるのかを見るのです。

 

I︰貴方はたびたびプログラムのバランスについて話しています。フリースケートにおける、貴方の理想の4回転の数をどう思いますか?3つでしょうか、貴方がやるように?

 

J︰僕のキャリアや、他のスケーター達のキャリアにおいても、僕達が見てきた事とは、僕達はたちまち更なる4回転を加えてはいなかったという事です。僕達はもう一つトリプルアクセルを加える事から始めて、それから次の年には4回転、そして数年後にもう一つ加えました。一歩一歩進んで来ました。直ちに全てを壊す代わりに。4回転の問題は、そのジャンプのためにとても多くの準備を必要とする事です。そして他の全てを失います。4回転の前に難しい事をするのは大変なのです。ですから、もし貴方が4つも5つも4回転をやるなら、貴方は既に多過ぎるほどのトランジションを失っているのです。その後に貴方は他の人達がトランジションで9.5や10を取る所を見ます。そうしたら貴方はこうです。"あり得ない!"と。もし前半ともう少しの部分に、3分間の中に4回転だけしか無いのなら、(トランジションで)10点を取る事は不可能です。

 

I︰女子選手達は今、男子よりもずっとクリーンなスケートをします。難度によるものだと思いますか?

 

J︰全ての男子選手がより高みへと自分を押し上げようとします。数年前には、ユヅと僕が同じ状態でした。彼は何かを加えました。でもこれはいずれかの段階では止まりませんでした。それよりも進み続けたのです。

女子選手は違います。ミライ(・ナガス)はトリプルアクセルを持っています。でもそれは、その事によって20人の女子選手達がプログラムにトリプルアクセルをやろうというような事はありません!だからこそ女子選手達はもっと安定しているんだと思います。彼女達は自分が出来ると知っている事をやります。

ここに、ある男性達がいます。彼は今まで一度も、練習でさえ、まだ4回転を降りたことはありません。しかし彼らはそれでもプログラムに2度の4回転をやります。何故彼らはそれをやっているのでしょうか?疑問です。

 

I︰エテリ・トゥトゥべリーゼのチームの数人の女子選手達が公式試合で4回転サルコウを降りました。いつか女子の競技会でも4回転は普通の事になると思いますか?

 

J︰おそらく、そうでしょう。このスポーツは進化しました。複数のロシア人と日本人の女子選手達は高難度のジャンプを既にプログラムに入れています。でも僕達はもう女子選手達が4回転を跳ぶ所を見た事があります。安藤美姫は4回転を持っていました。浅田真央トリプルアクセルを持っていました。ですから僕達は確実に更なる4回転を見るでしょう。ただ僕は一歩一歩進んで行く事を願います。ここに4回転が1つ、向こうに4回転が1つ。一気に20の4回転ではなく。

 

I︰貴方は今26歳です。若かった頃と比べると、4回転を跳ぶ事が大変ですか?

 

J︰もし選手がもっと難しいトランジションをやろうとしたならば、ジャンプももっと複雑なものになります。それと年齢は僕達に反した事をやります。年齢が上がると、強さを失くして、能力が残ります。若い時には、練習でもっとジャンプをやったりランスルーをやったり出来ます。今僕には白髪がありますが、それは普通の事です。だからこそ人はある段階でスケートを辞めるのです。何故なら身体が以前のようには動かないと感じるからです。僕はその事に取り組んできて、今もまだスケートをしている事に気付いています。あるスケーター達は別の事をやるか、競技する事を辞めるのかを決めます。もしスケーターが賢いなら、彼らはいつ辞めるのかを知っているのです。

 

I︰トレーニングを調整しましたか?

 

J︰もちろんです。今、通常の練習では、各ジャンプを2回やります。それからプログラムをやって、そしてもし全てが良ければ、氷から上がります。もしも45分間に全てが出来るのなら、何故1時間半も練習をするべきなのでしょうか?何故、疲れるために、余分な45分間を氷上で過ごすのでしょうか?それから、多分怪我をするかも?誰にも分からない事です!僕達は自分達のトレーニングで更に賢くならないといけませんでした。何故なら僕はもうヤングスターではありませんから。

 

I︰シーズン初旬に貴方はインタビューで、貴方とユヅルは今シーズンはあまり氷をシェアしていない、と話しました。分かれて練習をしていると。

 

J︰今シーズンは皆がストレスを抱えます。誰もがオリンピック・モーメントに生きています。時々あまりにも高いレベルのスケーター達が氷上にいると、皆にストレスを与えます。貴方もストレスを感じるでしょう。それで、時にはスケーター達は別のグループに分かれるのです。ユヅと僕の事だけではありません。氷を少しクリアに、雰囲気を少し普通に保つ事で…でも個人的に僕とユヅに何かあるという事はありません。

 

I︰貴方の隣に羽生結弦がいる時には、どのように自信を保つ事に上手く対応しているのですか?またネイサン・チェンや宇野昌磨もです。それから、彼らがやる事を見ますか?

 

J︰僕が試合に行って、僕よりも1つ2つ、4回転を多く跳ぶ男子達と自分の結果を比べる時、僕はこう言います。"めちゃ酷いって事はないね!"って(笑) そして何故、更なる4回転をやるのですか?僕の質問は、ユヅルは追加の4回転が必要でしょうか?僕の意見では、彼には必要ありません。でも僕は彼ではない。つまり何かを言う立場ではないのです。この質問は、僕達スケーターが自分自身に問いかけるものです。

僕には本当に必要なのか?それとも、クリーンなプログラム(3つの4回転のみ)で十分に勝てるだろうか?それが僕の論点です。もし僕がクリーンなプログラムをやったら、僕はそこ(表彰台の真ん中)へ行けると思います。でもそれは他のスケーター達にもよります。

僕は4回転ループをフリープログラムに加える事を考えていました。でもその後に、自分自身に問いかけたのです。それを安定させるために、どれほどの時間と奮闘が僕に必要なのか?それに値するものになるだろうか?そして僕の答えは、いいえ、恐らくそうはならない。4回転は一般的に言って難しい事です。ループは大変なんです。何故ならエッジが滑ったり、酷い転倒をする事がありますから…多分もし僕がもっと若かったら、それをやったでしょうが、それは今この時ではありません。

 

I︰貴方は何度も語ってきました。試合で成功しても失敗しても、全てはその日によるものだと。その特定の日のために、どのように準備をしますか?そしてその日は貴方の日になるでしょうか?

 

I︰僕は、それはもっと精神的な準備に関してだと思います。もし選手が練習で良く準備が出来ていて、プログラムに確実さと自信を感じるのなら、その時は上手く滑る良いチャンスがあります。精神的に、貴方が本当にやりたいなら、クリーンなプログラムをやる事が出来ます。もし僕達が本当に自分自身、自分達のプログラムに集中できるなら、何も僕達を止められないのです。人間とはそういうものです。例えば、もし本当に試験で良い点数が取りたいなら、そのように(準備を)やるでしょう。

 

(中略)

 

I︰貴方はたびたび "フィギュアスケートとはバランスのスポーツだ"と言ってきました。これはどういう意味ですか?

 

J︰まず初めに、選手はスケートにおいて釣り合いが取れていなければいけません。それから、生活においてもです。スケートの内側と外側の調和が必要とされます。それこそがブライアン(・オーサー)とトレイシー(・ウィルソン)が最も得意とする事だと、僕は思います。彼らは選手をトラブルから離れさせようとします。そして毎日を同じようにしようとします。そのやり方で選手は毎日が釣り合いが取れたものになるのです。浮き沈みが無く。もし選手に何か必要なら、彼らはそこにいるでしょう。貴方のために、彼らはその何かが簡単に出来るようにやろうとします。とても多くの事が、僕達の頭の中を駆け巡ります。そして僕達がやらなければならない多くの事を、彼らが常にシンプルなものになるよう努めるのです。

 

I︰前回の五輪で貴方は4位でした。この時貴方は既に「メダルが欲しい」と語りました。それはプレッシャーを与えるものですか?

 

J︰そうでも無いです。当然ながらプレッシャーはあるでしょう。五輪ですから。でも僕達はある日トロントでブライアンとトレイシーと話をしました。僕はとてもストレスを感じていて、オフィスへ行ったんです。

そしてブライアンはこうでした。「聞きなさい、ハビ。君が五輪で競技をしたその次の日に、太陽はまた昇るんだよ。例え君がメダルを取れなくても、次の日は必ず訪れる。そして全て普通の状態に戻って行く。それで、何故そんなにストレスを感じている?」

それで僕は気づきました。例え五輪でメダルが取れなくても、僕の人生が終わるという事ではないのだと。僕はベストを尽くします。その事に取り組んで行きます。そしてもし、それが起こらなかったら、それは起こらなかったという事なんです。ソチでは起こりませんでした。そして僕はまだここにいます!

 

I︰ソチの後に、貴方の内側で何か変わりましたか?

 

J︰僕を前進させ続けています。僕に目標を与えました。僕は氷上へ戻り、もっと練習がしたくなりました。悲しかったとか、そういう事はありません。僕は氷上へと戻り、練習し、成長する事が幸せでした。多分、もし僕が前回の五輪で4位でなかったのなら、僕は今ここにいなかったでしょう。

 

I︰平昌ではどんな演技を見せたいですか?

 

J︰もちろん2つの良いプログラムが見せたいです。でもプログラムにおけるバランスも目標としています。僕は常に釣り合いが取れている事について話しています。でも僕はまた、人々が僕を信じてくれるようなものを試合で見せる必要があります。五輪は僕にとって完璧な時だと思います……(長い沈黙)良いスケートをして、楽しむためのね。だからこそ人々が好きなプログラムを持つのは良い事なのです。もしプログラムが上手く行ったら、楽しむ事が出来ますから。僕のプログラムでは、笑う事さえ出来るんです。そういう事が不可能なプログラムもあります。例えばブラックスワンをやる時などです。でも僕は五輪では良い感覚を持ちたいのです。僕は人々に、僕はスケートが好きだという事を見せたいです。

 

I︰五輪のメダルはスペインのスケーティングにおいて、どのように影響するでしょうか?

 

J︰過去の数年間、スペインでのフィギュアスケートは強くなって行きました。でも殆どの人々にとって、短い歴史ではスポーツだと認識する事は難しいのです。サッカーとテニスはずっとずっと長いストーリーがあります。でも願うなら、もし僕がメダルを取ったら、スペインのフィギュアスケートの成長は続いて行くでしょう。もっとアイスリンクがあって、もっとスケーターがいて、そしてそれが僕達がまた別の素晴らしいスケーター、又はスケーター達を持つ、より大きなチャンスになるかもしれないのです。僕達には既に素晴らしいアイスダンスのチームと素晴らしいペアがいます。この国にはもっとアイスリンクが出来ました。例えば、1年で2棟のアイスアリーナがグラナダに建てられました。カナダでは、1棟のビルに6つのアイスリンクがあります。それに大きな意味は無いかもしれません。しかしスペインの僕達にとっては、本当に意味のある事です!

 

終。

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2018年のフェルナンデスさんのインタビューでした。五輪の前という事で、少し前なのに物凄く前に思えます…なんだか不思議ですね。

色々、読み応えのあるインタビューが見たいなと思いつつ、何故このインタビューを訳してみたのかというと、この当時のハビエル選手の年齢が今の羽生くんに近いためです。ベテランの選手にはそれぞれ感じるものがあると思いますし、国によっても状況が違います。そして何よりもフェルナンデスさんが話すように、自分達で自分に問いかけ、決めるしかないのでしょう。羽生くんはインタビュー等で話していない事で、何かを考えているかもしれません。それが何なのか、私達ファンはずっと知らないままかもしれませんが、どこかで見せてくれるかもしれない。今シーズンは辛い試合もありますが、ようやく通常の試合数に出場する事が出来ていて、そして羽生選手は今健康にスケートをしています。

シーズン後半、どんな演技を見せてくれるのか、楽しみに待っています!

 

余談ですが…フェルナンデスさんが「僕には白髪がある」と26歳の当時に語っていましたが、26歳で白髪って、そんな事あるの???とビックリしました。例えで言っただけなのかな?それとも本当に人によるのかな。

フェルナンデスさんが引退してからスペイン代表選手でシングルでは強い選手がなかなか出てこないですね。突然選手が増える事は無理ですが、少しずつ少しずつスケートの人口が増えて、いつかキスアンドクライに座るフェルナンデスさんの姿を見られたら嬉しいです。