ステファン・ランビエールさんが宇野選手との仕事、四回転ジャンプ等について語る。

少し前に、宇野昌磨選手の新コーチにステファン・ランビエールさんが決まった、と発表がありました。そのランビエールさんのインタビューです。2019年ロステレコム杯の時のものです。

ロシア語→英語→日本語です。

英訳された記事はこちらです。

 

I→質問者

S→ステファン・ランビエールさん

 

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ステファン・ランビエール︰私はフィギュアスケートへの情熱に突き動かされます。もし私のスケーターがそれを共有できれば、レベルは関係ありません。】

 

I︰モスクワのグランプリに何人のスケーターを連れてきましたか?

 

S︰ここでは3人のスケーターと仕事をしています。デニス・ヴァシリエフス、宇野昌磨、そして白岩優奈です。

 

I︰宇野昌磨との協同をどのように語れますか?

 

S︰フランスのグランプリの後に、彼は僕の所へ来ました。彼は日本に戻りたくはなく、それと私のアイスリンクのそう遠くない所に滞在場所を決めていたからです。それで私達はここへやって来ました。私達には何年もの協同の経験があります。ショーでの沢山のナンバーでの蓄積があるのです。私は彼の振付師でした。それから幾つかのショーナンバーでは彼のパートナーでさえありました。私達は良い関係を築いていました。だからこそ私は自分の仕事を彼に申し出たのです。

 

I︰そうすると、彼が貴方に助けを求めた時は、驚きではなかったのですね。

 

S︰昌磨は私のスクールへ9月に数日間、訪ねてきました。彼は私の指導方法を知っています。そして、彼は私のグループの雰囲気をとても気に入っていると思います。ですからこれは彼にとっては、かなり快適なオプションになったのでしょう。

 

I︰宇野は英語を話しません。どのように彼とコミュニケーションを取りますか、共通の言語を見つけるとか?

 

S︰私達は多くのイメージのレベルで仕事をします。それから私は必要な動きを自分で見せようとします。付け加えますと、彼は少し単語を知っています。例えば、方向を指し示す時などです。ですから彼は僕の指示を理解しています。右か左か、などは。そのように私達はコミュニケーションを取ります…少しの単語の助けを借りながら。ただ主要な事としては視覚化した様々なものを通して、イメージを通してです。

 

I︰五輪の銀メダリストと仕事をする機会があるコーチというのは、そう多くはありません。このアスリートを支援する事は貴方にとって特別に名誉な事だと言えますでしょうか?

 

S︰私はどのような形においてでも指導をする事が好きです。私はフィギュアスケートへの情熱によって突き動かされます。もし私のスケーター達がそれを共有しているなら、彼らの初めのレベルは関係ありません。

 

(中略)

 

I︰指導者の世界では、誰が貴方の模範ですか?誰にアドバイスを求めますか?

 

S︰多くのコーチ達が私を助けてくれます。 私自身が一緒に取り組んでいたコーチもいます。濱田見栄、ジスラン・ブリアン、ブライアン・オーサー。バレエやモダンダンスの先生達、ピラティスのコーチ。専門家達も同じくオフアイストレーニングに参加します。特別な範囲の深い知識を持つ人々に囲まれている事が好きです。それで私は自分のスケーター達にとって成長するための最上の状態を作り出す事が出来るのです。

 

I︰貴方もパフォーマンスを続けていますね。いつ練習する時間がありますか?

 

S︰大抵は毎日1時間、僕の時間があり、氷上だけでなくジムでも過ごします。やはり成長する事は可能なんです。精神面も含めて、活発にオフアイスのトレーニングをする事や動きの練習をする事により、氷上で演技が出来ます。

 

I︰最近のフィギュアスケートのトレンドをどう感じていますか?貴方の時代には4回転ジャンプは珍しかったですよね。

 

S︰でもそのジャンプは既に行われていました。覚えています。2002年を振り返ると、ソルトレイクシティ五輪メダリストのティモシー・ゲーブルは3度の4回転ジャンプをプログラムに組み込みました。そうすると、この練習にはかなり長い時間がかかったでしょう。フィギュアスケートは驚くべき過程を経ています。私は進化の熱烈なサポーターです。私自身が新たなフロンティアを見つけたく、限界に挑んでいます。従って、私は同じく成長している全てのスケーターを賞賛します。

でも私は4回転ジャンプがそんなにユニークだとは思いません。チェコスロバキアのスケーター、ヨゼフ・サボフチクが80年代に演技をしていたのを、私は覚えています。それから、ブライアン・オーサーもです。これはもう新しい事では全然ないのですが…実際かなり古いです(笑)非常に印象に残るものなんです。しかし、空中で4回の回転をする事に加えて、演技解釈のやり方には他に多くのものがあります。

 

I︰例えば?

 

S︰音楽を通して、主要なキャラクターを通してです。私においては、フィギュアスケートとは芸術のようなものです。人が書こうとしている本のような。貴方がスケートをする時、貴方は自分で責任を持つ確かなストーリーを書くのです。そしてもし貴方がストーリーの中で4回転ジャンプに集中したいのなら…まぁ、それでいいでしょう。でもスケーター達は本格的なストーリーを創り上げる必要があります。全ての詳細、全てのわずかな陰影にも取り組まれたものです。私はこのスポーツに魅了されています。卓越した美学があるからです。はい、発展は重要な事です。でも色々な違った方法で達成できるのです。

 

I︰女子シングルの4回転ジャンプはどう思われますか?これを持つ選手にとって、大きな強みでしょうか?

 

S︰公平な審判において、彼女達はそのような大役を演じるべきではありません。そして、これがたとえ本当に有利な点であっても、もし選手が4回転ジャンプとトランジションのどちらも、その他全てをも出来るなら、それに何か問題でも?私は発展の限界を定義づけたりしません。

 

I︰お気に入りのスケーターを上げて頂けますか?誰か今、最もバランスのとれたプログラムを持っていますか?

 

I︰沢山います。この前マライア・ベルのトレーニングを見ました。彼女はまるでスポットライトの下で滑っていました。素敵な光景です。彼女の身体の全ての細胞があるべき場所にあったように見えました。彼女のスケーティングはダイナミックさとナチュラルさの両方があります。私は彼女の練習を素晴らしい喜びと共に見て、多くの感銘を受けました。彼女の場合は、多様な技術と芸術の要素について私達は話す事が出来ます。私は正確さと技術を含んでいる、更に優美さのコンビネーションが大好きです。多くのスケーターがそれを持ち合わせています。

 

I︰2015年、あるTVチャンネルのインタビューにおいて、貴方はロシア語を習うつもりだ、と話しましたね。

 

S︰はい。時々デニスに単語を教えて欲しいと頼みます。でも私の年齢では、かなり難しいです。私は20歳ではありません。それから、フルタイム・レッスンの仕事量が妨げになります。

 

I︰貴方のモスクワとの連携は何でしょう?もしかすると2005年世界選手権での勝利ですか?

 

S︰もしかするとフィギュアスケートとの連携でしょうか。私はロシアのフィギュアスケート学校に感嘆しています。

 

I︰貴方の学校はロシア人スケーターにも門戸を開いていますか?

 

S︰もちろんです!私は既にミハイル・コリャダ、エリザベータ・トゥクタミシェワ、アレクサンドル・ペトロフと仕事をしました。アレクセイ・ミーシンがスケーターの指導を助けてくれます。私は彼に対して非常に大きな尊敬の念を持っています。彼は素晴らしい人であり、フィギュアスケートの優れたマスターであります。

 

 

終。

 

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ランビエールさんが学校を開校したと聞いた時は、まさかあんなに規模の大きなものだとは思いませんでした。やはり、あれほとの大きさが無いと、沢山のスケーターも募集出来ないし、トップ選手の受け入れは更に難しいですよね。一気にあの規模の学校…凄い事ですね。

これからも試合でランビエールコーチの姿を見るのが楽しみです。宇野選手は英語でのコミュニケーションは大変かもしれませんが、これからの事を考えると少しでも出来るようになった方が絶対に良いので、プラスになると思います!多分ある程度は聞き取れているけれど、何か言おうとすると出てこない…て感じじゃないでしょうか。でもこれは慣れて行きますから、自然に少しずつ出来るようになると思います。

色々なスター選手達がコーチとして振付師として、解説として登場する…色々な楽しみが試合にあって、フィギュアスケートファンとして嬉しい限りです(*´꒳`*)