ラファエル・アルトゥニアンコーチが女子シングルの年齢、指導について語る。①

今回の記事の翻訳は、Twitterやブログ等で既に色々な方が訳されていますが、自分用にも書いてみる事にしました。長いインタビューですが、興味深い質問が多く、またロシア人コーチの言葉はちょっと捻った言い方をしたりして、読むのだけでも面白いですね。

ロシア語→英語→日本語です。

もともとのロシア語でどのようなニュアンスで話していたのかは正直分かりませんので、自分も参考で読んでみました。文字のインタビューは全てそうかもしれませんけれど。

 

記事はこちらです。

I→質問者

A→ラファエル・アルトゥニアンコーチ

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【ラファエル・アルトゥニアン︰少女達は女性達と競技するべきではない。不公平だ!】

 

A︰チェンは2週間早めにトリノへやって来ました。彼とトレーニングする機会がありましたので、結果は明白です。その上、そのような時に調子を整える事が可能だったのです。アスリートをレモンを絞ったような状態にするのではなく。ある時に貴方にとって彼がベストの事をやり、全てをあらかじめ与えたら、そうしたら競技会で彼は完全に空虚になるでしょう。だからこそ去年、あるとても大きな試合の1週間前にネイサンが私の所へ来たがった時、私は言いました。「いや、来るな」と。最初、彼は気を悪くしていました。その後に正しかったと気づき、こう質問さえしたのです。「何故全てが分かるのですか?」と。まぁ、私は45年間も働き続けて来ました。無益にではなく。

そして私には素晴らしい教育者達がいました。タチアナ・タラソワアレクセイ・ミーシン。また私はガリナ・ズミエフスカヤとも仕事をしました。私はただ彼らと同じ空気を吸っているだけで嬉しかった。伝わりますでしょうか?今、もし競技会でミーシンやタラソワが私の側を横切る時、私は止まります。もし彼らがやって来たら、挨拶をします。もしそうでなければ、私は自分が彼らの邪魔にならないようにします。

 

I︰今シーズン、貴方のアスリートのマライア・ベルには非常に良い印象があります。

 

A︰ええ、彼女の素晴らしさが分かるでしょう!そうすると私にはまだ出来る事があるのですね(笑) しかし私は少し腹が立っています。彼らが私と米国人や米国のスケーティングとだけ提携させる事に。私のベストな時期には、マリア・ソツコワがトレーニングキャンプに来ました。ミーシャ・コリャダが来ましたし、今年の夏にはクセニア・シニツィナが彼女のコーチと一緒に来ました。私はまるで、どんな人でも依頼すれば助けに行くドクターです。どうやら、だからこそ私はしばしば大人のアスリートと仕事をするようです。彼らの多くはどこかでトレーニングを積み、馬鹿な事をやって、ジレンマに直面したのです。スケートを終えるか、それとも続けるのか?結果として、彼らは私の所に来ます。真実的に彼らは長い間を待たなければなりませんでした。少なくとも2年。4年はもっと最適です。

 

I︰そして彼らは待つ準備が出来ているのでしょうか?強さを見つける事と、あとはお金も?

 

A︰最大の問題は、スケーターが受け取れる事以上のものを与えられないという事です。彼らは私に聞きます。何故貴方は一度に全部を教えないのですか?と。何故ならば、アスリートはある事を3、4年後にのみ理解出来るからです。私達はアシュリー・ワグナーともアダム・リッポンとも、これを経験してきました。マライア・ベル、ミーシャ・ブレジナともです。

ネイサンは10歳の時に私のところへ来ました。14-15歳よりも前には、どのようにトレーニングするのかを教えました。いつでもアスリートとトレーニングは出来ません。何故か?何故なら1日3、4時間のトレーニングに支払う事に余裕がある人は誰もいないからです。500ドルほどなんです!従って、私は学ぶ事、そして自分自身でトレーニングする事を教えます。もしその人が賢ければ、絶対に出来ます。この事に感謝を。チェンは自分自身でトレーニングしています。

 

I︰このニュアンスは、エフゲニア・メドベージェワがCSKAでブライアン・オーサー抜きでトレーニングしていた事を非常にはっきりとさせます。そして後々にはサンクトペテルブルクで、トロントで。彼がいない時に…。

 

A︰これはシンプルな理由で起こります。ロシアでは、1日に3時間スケーターの指導が出来ました。私は重要なアスリートとその他のグループの選手を抱えていたのです。

米国においてはシステムが違います。個人レッスンです。スケーターがやって来て、こう言います。「今日私は30分のためのお金を持ち合わせていません。20分だけです。」と。だから何だと言うのでしょう?そして次の日、彼はその時間の分のお金さえ持って来られない。こう言った状況下では、やり方は1つだけです。どうやってトレーニングするのか、を教える事です。3、4年の間ずっと取り組んできたアスリート達にはレッスンは与えません。私はただ彼らをコントロールするのみです。その中であまり賢くない者たちは怒りをあらわにします。「貴方は僕の指導を止めてしまった!」と。しかし私は全てを見ています。全ての瞬間、ジャンプ、彼らがやって来た時と去る時、全ての過程をです。それから私は彼らの失敗について話しに行っていました。

もし質問する事をアスリートがやるのなら、そうすれば彼は成長します。でも私が他のやり方を探す事も起こります。例えば、私は全てのアシスタントを通して考えを伝えました。そうするとアスリートの頭の中で凄い爆発を引き起こします。「なんと、2人の人達が同じ事を言っている!」と。

事実、これは心理的なトリックなのです。我々の著名なコーチ、スタニスラフ・ズックが似たやり方を使っていました。彼はアスリートをトライアウトに招待し、課題を与えました。そして電話がかかってきた振りをしたのです。彼は出て行って、彼がいない時にアスリートが何をするのかを見ました。そして課題を不正確にやっていた者たちを取りませんでした。

 

I︰今、宇野昌磨はついにステファン・ランビエールとトレーニングをすると決断しました。彼は貴方に依頼しましたか?

 

A︰そうですね、客観的に受け入れる事が出来ないアスリート達がいます。例えば、もし彼が私の所へ来たいと思っていたとしても、単純に今彼は私のグループには合わないでしょう。練習は全員にとって快適であるべきです。昨年のイム・ウンスとベルの誇張されたアクシデントを思い返してご覧なさい。真実というのは、ライバル達の間には常に緊張感があるという事です。あるアスリート達は感情面においてただ節度があります。それに対して別のアスリートは、ただその感情を表に出すのです。私はロシア人少女達が一緒に練習するのは簡単ではないと思います。

 

I︰しかしながら、全ての試合において彼女達は仲の良いチームメイトの例とされます。

 

A︰良くやっています。頑張っていますね!公の場では可愛くいなければ。これは我々のスポーツの暗黙のルールです。ボクシングでも総合格闘技でもないのです。

 

I︰しかしながら、五輪シーズンではこの強調された好意と競技者アリーナ・ザギトワがメドベージェワの心理的強さの多くを損失させたように見受けられます。

 

A︰はい、常に大変なものです。私は以前から何度も言ったことがありますが、私はユヅルのファンです。彼のやる事、2度の五輪後に彼が進歩した事が本当に大好きです。今シーズン、彼は4回転ルッツとループを跳びました。2、3年前には組み込めなかった内容です!これはまさに驚くべき事です。そして今、そのような素晴らしいアスリートを見ている時、誰かにとって終わる時が来たと話す事は道理に反します。

例えばザギトワです。逆に、私は彼女にこのスポーツでの長期的な継続を願っています。ですがこの事のためには、彼女は職業に対する姿勢を変えるべきです。もしナショナルチームにならなかったとしても、何をしたらいいのかとパニックになるべきではありません。問題の理由を見つける必要があり、それを解決し始めなければ。もし彼女が本当に続けたいのなら、コーチの所へ行って、言わなければいけない。「やりたいです!」と。疑問はと言うと、正確に向上心、情熱におけるものです。

 

I︰しかし、彼女がキャリアを続けたいのならば技術を複雑化させなければならないのは明確です。4回転かトリプルアクセルを学ぶ事が…

 

A︰そして、何が彼女を止めるというのです?遅すぎるとでも?リーザ・トゥクタミシェワ、23歳で4回転を跳びました。ここで米国とロシアのトレーニングの微妙な違いを比べましょう。海外ではアスリート、コーチのどちらも選択は完全に自由があります。私自身も自分で誰をグループに受け入れるのかを決めます。連盟もマネージメント社も決断に影響できません。個人的なビジネスなのです。

例えば私は今、若く才能ある米国チームのジュニア選手を手伝っています。両親達が教え導く人達で、彼らは男の子のコーチです。私は彼らと共に仕事をする事を幸せに思います。彼はカナダ出身の私の生徒のライバルになる可能性があると理解してはいても。彼が依頼をした時、私は拒否出来ませんでした。彼の練習への情熱をです。そして彼の向上心はとても力強かった。健康的なライバル関係は良い結果をもたらします。私は選手の向上心を高めるのが好きです。何歳かは関係なく。主要な事は彼らを正しく教育し、有能なアスリートにする事です。

ザキトワに関して言えば、彼女は、この我々の難しいスポーツで長期的に成功しているユヅルと同じくらい良いのです。彼女には才能があり、美しく、彼女を見る事はただ素敵な事です。アスリートは自分で自分の宿命を決めなければならない。私はロシアで働いていた頃を覚えています。不運にもしばしば起こっていた事ですが、私達コーチが、上層部でさえ、自分達の権威でアスリートを押しつぶそうとしていました。そして私の意見では、彼らは全てを自分達で理解できるような機会を与えられるべきなのです。

 

I︰今シーズン、ザキトワは以前よりも激しさが少ない雰囲気で練習し、演技をしました。まるでエテリが少し自由を彼女に与えたような…

 

A︰エテリがどうだと言うのでしょう?彼女の仕事を見なさい!彼女は多くのアスリートをトリノへと連れてきました!トゥトゥベリーゼのフィギュアスケートの理解の下では、全てが大丈夫です。そして彼女は確実にアリーナの全てを解決する良い方法を見つけるでしょう。物事は変わっています。トリノで、そして以前の競技会で私は繰り返し意見を聞きました。「彼女は今こそ終わりにすべきだ!」と。しかし今、私はもっと彼女が好きでさえあるのです。彼女がスポーツから去るならば、私はとても困惑します。私はザキトワとメドベージェワがお互いに競い続ける所が見たいと思います。そのような策謀を追うのは興味深いです!グランプリファイナルでの羽生とチェンの闘いのように。

 

I︰その代わり、女子シングルスケーティングには闘いの別のオプションがあります。トゥルソワ、コストルナヤ…4回転VSバランスの取れたスケーティング、若しくはトゥルソワ、シチェルバコワ…4回転の闘いです。

 

A︰何故今、女子シングルスケーティングが全てそのような感じか分かりますか?何故なら4回転ジャンプの技術が固定したからです。トゥトゥベリーゼのグループでは、彼らは良いバランスを見つけたのです。身体はどうあるべきか、どのポジションからがジャンプに良いのか。もう一つの疑問は、全ての若い少女達が良い技術と共に成熟して欲しいという事です。例えば羽生ですが、どのように全てが始まったのか覚えていますか?今では彼はアイコンです。観客のフィギュアスケートへの興味関心は、現実的に彼に向けられています。ユヅルは大人気で、そして今はロシア人少女達がそれに劣らない可能性があるのです。

 

I︰しかし大人のスケーター達がいる欧州や米国では彼女達は興味を持たれていないという意見はどうでしょうか?

 

A︰彼女達が退屈になるなどあり得ません。貴方は理解する必要があります。欧州でも米国でも、良く訓練された若い才能が沢山います。つまり思春期の前にどれだけ少女達に与えられるのか、複雑な要素の内容をマスターしている必要がありますから、4歳から職業としてやり始める必要があります。これは世界中どこの国でも起こりません。ロシア以外では。

 

I︰皆が子供達を保護するからですか?

 

A︰4歳の子供がやって来て振付、身体的トレーニング、氷上で十分な時間を費やす事を開始するシステムがどこにも無いからです。私の理解では、米国では子供達はしばしば訓練されていません。それでもスケートをするためにリンクへ連れて来られます。そうして突然、家族会議において、彼らは真剣にやる事を決断します。母親は私の所へ子供を連れてきて言うんです。

「私にはとても良い女の子がいます。とても才能があります。(これには基本的に私は同意します)」「彼女はまだ小さく、10歳になったばかりですが、それでも全てのダブルジャンプを既に跳んでいます。」と。

これに対しての返答は、「まだ10歳ではなく、もう10歳です。貴方は世界で何が起きているのか、見てもいないのですか?」です。

両親達は全くもって理解していません。子供達が高いレベルで演技をする事を可能にするために、多くの要素をマスターするにはそんなに時間が無いのだという事をです。4年間が最大限です。その後にこの小さな女の子は成長を始めます。そして完全に違ったアプローチ、違った仕事が必須となります。でもこれは完全に別のストーリーです。

それで私は自分の技術を磨くのです。フィギュアスケートが好きな"蘇った"才能ある選手達は、ただ訓練が好きなのです。人はこれが私の専門だと言えます。何かしらでアスリート達が自分自身を見つけるという状況の中から最大限を絞り出そうとします。

 

I︰4回転ルッツとトリプルアクセルがあるアリッサ・リウはどうですか?

 

A︰はい。ユニークな事例、ルールにとっての例外があります。アリッサ、ミシェル・クワン、チェン。ただネイサンのシステムは彼の母親によって作られたものです。5歳の年齢から彼は振付、体操、音楽に従事させられていて、充分な時間を氷上で過ごしました。10歳くらいまで、彼は1年半ほど幾つかの要素に取り組むために私の所に来ていました。それから10歳の時に、彼は母親に言ったのです。「もし僕達が動かなかったら、僕は進化できない。」と。しかしこの瞬間に、彼は既に身体的にその後の職業的な取り組みのための準備が出来ていました。

 

続きます。

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予想以上に長いので、2つに分けたいと思います。ロシアの方の言い回しは何かこう、一癖あって読むのが面白いです。ただ、全て本心から答えているのか?というのは分かりませんが。まぁそれは日本人でも同じですね。

 

続きます…。