インナ・ゴンチャレンココーチが女子シングルなどについて語る。

明けましておめでとうございます。

色々な記事が出ていますが、女子シングルはやっぱり話題が多いですね。ゴンチャレンココーチが語る女子シングルの展望の記事を訳してみました。

記事はこちらです。

 

ロシア語→英語→日本語です。

GPFの前のインタビューです。

 

I→質問者

G→インナ・ゴンチャレンココーチ

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【インナ・ゴンチャレンコ︰日本でも4回転やアクセルを習っている。ただ沈黙しているだけだ。】

 

(前略)

I︰グランプリファイナルでのロシア人スケーター達の主要なライバルは日本人の紀平梨花です。彼女達はホームでのグランプリで4回転サルコウをやると発表しました。貴方の意見では、こういった全ての巧妙なやり方は何のためでしょう?

 

G︰シーズン始めに、私は彼女をとても落ち着いて評価しました。プログラムのテーマは風変わりなものです。手の使い方を非常にマスターしている事が見えるとは言えども。そして今、彼女は十分なランスルーが出来ます。音楽は梨花に良く合っていて、コスチュームが変わり、早いスピードで滑ります。貴方にも見えるように、誰も眠ってなどいません。誰もが練習しています。成長する場所を見ているのです。でも忘れないで欲しいのは、これはグランプリファイナルのセレクションに過ぎないという事です。もしかしたら彼女のチームはリスクを取るに値しないと判断したのでしょう。2位で十分だと。加えて、日本人アスリートがホームで演技をして、演技構成点で支援を得ました。彼女はフリープログラムでトリプルルッツさえやっていないのです。これでアリョーナ・コストルナヤに勝つ事を期待したでしょうが、失敗しました。

 

I︰しかしながら、この全てのホームの壁は、審判は貪欲ではなく、ショートプログラムで紀平の前に演技をしたコストルナヤに与えました。世界最高点を…。

 

G︰彼女がグランプリのフランス杯へ飛んでいった時、審判達は彼女に期待していなかったと思います。トゥルソワか、シチェルバコワ又はザギトワに期待していた。皆がアリョーナには美しいスケーティングがあるが、競技会ではトリプルアクセルだけしか跳ばない事を知っていました。しかし日本での競技会で明らかになったのです。彼女はただ前進しているのだと。

 

I︰このグランプリシリーズでの採点は曖昧であり、また時にとても厳しかった。貴方の意見では、何が今シーズンの主要なトレンドになるでしょうか、そしてISUは本当は何を求めているのでしょう?

 

G︰ISUもまた、何が起こっていて、何がどうなっていくのかを理解しようとしている人々を雇います。女子シングルスケーティングの転換点です。明らかに、全ては技術的内容の難解さに行き着くでしょう。スケーティングと芸術の美しさとが合わさったものです。アリョーナはその点では既に成功しました。そして紀平もまた、その道を行っています。彼女には良い柔らかな日本的スケーティングがあり、彼女独自の表現力もあります。

人がコストルナヤを見る時、ジャンプの内容に加えて、彼女の魂の中でどのように鳥が歌うのかを見るでしょう。ショートでは天使を見ます。このために生まれたのです。そしてこのようなアスリートが勝ちます。同じく、羽生もまた何か仏教的なものを歌います。もしかすると私達には理解できないものです。それは人々を魅了し、催眠術的な効果があります。この、人を惹き付ける力に感謝を。コストルナヤは観客と専門家の心に勝ったのです。そして最後にはまた、人々の力です。

 

I︰採点は、グランプリファイナルへ進出しないトゥクタミシェワには影響しませんでした。若しくは、責めるべきは彼女の失敗でしょうか?

 

G︰リーザは良くやりました。でも貴方はファイナルへの戦いを見ましたか?たった6人の参加者だけが行けるのです。出来る事は何もありません。ジェーニャ・メドベージェワも進出していないのです。全てが複雑化しました。

 

I︰リーザはプログラム変更で時間を失ったのでは?

 

G︰当然です。彼女には、この世界をリードする専門家による良いプログラムがありました。シェイ・リーン・ボーンです。何かが変わって、疑念があり、多分時間を失ったのでしょう。でも人が目標を設定したら、その後はそのために自分を乗り越えるのです。私達は前回の試合で、彼女が期待された選択権の所へ来たのを見ました。でもそれからは全てが早かった。この全てのフライトと旅路によって、時間はわずかでした。

 

(中略)

 

I︰中国では審判は宮原を支援しなかったのでは?

 

G︰私は客観的に答える事ができません。何故なら彼女の勤勉さ、スケーティング、新しいプログラムと氷上でのテーマにより、私はサトコが気に入っていますから。以前、彼女はあのようなミニ・ショーではありませんでした。加えて、宮原はとても良質に演じます。振付や動きを投げ出す事をせずに。彼女のフリープログラムは感動を与え、忘れられないものです。そして彼女の名前と格付けがあります。

 

I︰あるインタビューで、モスクワのグランプリ銅メダリストのマライア・ベルがこう言いました。もし貴方が4回転やトリプルアクセルを持たないのなら、プログラムという点において何かを探す必要があるのだと。

 

G︰選手の強さへの賭けですね。ベルは展開の早いスタイルと、少し攻撃的なものがあります。彼女はゴージャスなスピンがあり、他の人がやらないポジションやトランジションがあります。マライアの、あのような笑顔。彼らはダンシング・プログラムを用いて、観客は非常に良く応えます。そして全ての観客席が熱狂的に応えると、審判もまた反応します。誰も4回転を恐れていません。全員が自分自身を見つけようとしているのです。そして私達は、当然ながら、我が国のアスリートを愛しています。しかし彼らは一人でスケートは出来ません。そうでなければ面白みが無くなるでしょう。

 

I︰その間に、とても若いロシア人達がその先へと行っています。12歳のソフィア・アカチエワとソフィア・サモデルキナは4回転とトリプルアクセルをプログラムに入れました。

 

G︰はい。子供達は恐れを知りません。その試合は、プレ・ジュニアでさえ、クレイジーです。外国の専門家達はこれに続いていくと思います。それゆえに、何か入り乱れる事になるでしょう。しかし4回転を持つ米国のアリッサ・リウがいます。何故、人々は彼女を怖がらないのでしょう?ただ繰り返しています。"わぁ、ロシアの少女達ときたら!"と。

そして日本では、彼らは恐れてなどいないと思います。アクセルと4回転を習っているのです。ただ沈黙しているだけで、そして思いがけない所で見せるのです。発展は止める事は出来ません。

 

I︰しかしスポーツは別として、子供達が可哀想だと思いませんか?

 

G︰しかし可哀想だと思わないものですか?盲目に背中を曲げ、一日中アイフォンの前に座っている子供達の事を?それから両親達は子供達と一緒に心理学者や精神科医の所へと走るのです。そして、フィギュアスケートに携わる子供達よりも、そのような子供達の方がもっと沢山いますよ。ずっとコンピューターの前に座るよりも、4回転サルコウを習う方が良い事です。私達は間違った事を恐れます。

 

I︰多くの人が、両親達が子供達にしばしば無理強いする事を受け流し、その事が彼らから子供時代を奪います。

 

G︰現在では一般の学校でも非常に努力が必要とされます。例えば米国の試験です。もし貴方が正しく勉強したいのなら、全ての宿題をやって、そして試合に備えます。そして勉強はとても疲弊するものです。私の娘は夕方の5時か6時まで勉強し、家に帰り、真夜中まで宿題をやりました。労働なさい。スペシャリストになりたいのなら、耕さなければ。

例えばバレエスクールです。少し問題があるでしょう?彼らは痛む関節が無いでしょうか?終わりのないダンスでけいれんは無いでしょうか?彼らは教室の埃の中で呼吸します。従って肺に問題があります。多くの問題がありますが、これはビジネスのファン達を止める事はありません。

3、4歳の子供がフィギュアスケートのクラスに連れて来られた時、彼は何を理解できますか?彼はTVで女子か男子の美しいコスチュームを見て、言いました。「これがやりたい」と。もちろん、両親達の熱狂は効果があります。どれほど才能の溢れる人であろうとも、常に"強いる事"と"繰り返し教える事"があるのです。でも同時に、もし子供がやりたくないのなら、無理にやらせる事はありません。

 

 

終。

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ゴンチャレンココーチのインタビューでした。意外な例えに羽生くんが出てきてビックリしましたが、歌っていると表現されているのは素直に嬉しいです。魅了する、というのも。

コストルナヤの評価はとにかく高いですよね。彼女は技術の選手に見えますが、色んな曲を滑る中で彼女独自のスケートがまた出て来るでしょうね。楽しみです。コストルナヤ選手のジャンプを見ていると、4回転なんて跳べそうに見えますが、実際の練習はどういうものか本人にしか分かりません。特に怪我もあったので、やっぱり怖いですね。

 

実は最後の子供達とスポーツの話は省略しようと思いましたが、なかなか凄い内容で、訳してみると決めました。バレエスクールでは怪我や肺の問題があるが、ファン達を止める事は出来ない…ちょっとゾッとしてしまったのですが。ある意味ロシア的なのでしょうか。芸術系スポーツはロシアは強いですが、とにかく若い選手が次から次…と出てきて、誰が良い時に、良い年齢でいるのか、という中でやっているものがある…ように見えます。昔から強いからスクールも整っていて指導体制が出来てる、ていうのもあるでしょうが。健康を多少犠牲にしてもやらなければ、そしてファンが求めている限り止まらない。これは正しいのかどうか分かりません。余りにも高いレベルになると、多かれ少なかれ健康や人生の何かを犠牲にしているはずです。国が違うから価値観も違いますし…ただ、ここまでの事は日本では無理だろうなと思います。そしてここまでやれるから、ロシアはスポーツ大国でもあるのだな、と妙な納得がありました。何を優先させるかで変わってきますね…。

自分自身が10代で五輪の金メダルを取るためなら…私もロシア的なやり方のが有り難いと思うかも…?背後に才能ある子供が迫っている、目指すなら、この五輪しかない。その次はもう自分のピークは過ぎているから…と考えるのならば…?

何が正しいのか分からなくなって来ました…でも国が変われば正しい基準も変わります。ただ、全てを投げ出してもスポーツに見を投じて、その結果に挫折してしまった子供達も数え切れないほどいる事でしょう。その子供達が新しい目標を見つけて前向きに生活している事を願うのみです。

 

相変わらず、ロシア人コーチの言葉はずっしり重たいものが多いですが、まぁそれも含めてロシア人の魅力でしょうか。ただ読み応えはあります。本当に。重たいけど、ロシア人コーチ達や選手の言葉をしばらく訳して行こうかなと思います。