ポリーナ・シェレペン︰トゥトゥべリーゼは世界一厳しいコーチ？貴方が成功すればするほど、貴方のストーリーは色づけられる。②
ポリーナ・シェレペンさんのインタビュー、後半です。
I→質問者
P→ポリーナ・シェレペンさん
I︰どちらのアプローチが貴方のやり方に近いでしょう？一人のアスリートの殆ど全てのキャリアについて仕事をするか、又は強いスケーター達の大きなグループを作るか。
P︰ある一人のアスリートを受け入れて、トップへと導くことは出来ます。それで終わりです。でもそのようなコーチは、スーパー・プロフェッショナルとは呼ばれません。何故ならたった一人の才能あるアスリートを得ただけだからです。そして既にコーチはトップであるのに。
プロフェッショナルのコーチは、どんな才能も受け入れて、それを引き出す事が出来ます。また、一人のアスリートと長い長い期間、仕事をする事も出来ます。
でも突然、選手は怪我をします。又は別のコーチの所へ去ってしまいます。そして誰もコーチの元に残らない。もし大きなグループなら、交代の選手がいます。あまり良い言い方には聞こえないかもしれませんが、でもこれはスポーツです。
例えば平昌五輪です。シーズン途中にジェーニャ・メドベージェワが怪我をしました。そして五輪で演技が出来るかどうか、明確に分かりませんでした。でも皆は知っていたんです。もし何が起きたとしても、我々にはアリーナ・ザキトワがいる、と。ですから緊張感は少なかったです。
I︰誰が勝とうとも、大事な事はロシア出身の選手という事ですか？
P︰五輪の後、あるトピックに関して沢山の事が話されていました。ジェーニャがただの2位だったとは、正しかったのか。
国にとっては全ては完璧な方向へと向かいました。1位と2位、2個のメダルです。この点に関しては、恐らく皆さんの考えから少し離れてしまっていると思います。私達の2人のフィギュアスケーターは最高です。でも多くの侮辱がありました！
とにかくソトニコワが2014年にソチで優勝した時には、皆ただ言っていました。
「ああ終に。神様、ありがとうございます。」と。
I︰ソトニコワの勝利を見て、思いませんでしたか？「どうして私は五輪に行けなかったんだろう？」と。なんと言っても貴方は一緒に始めたのですから…
P︰いいえ。私は五輪へ行くという目標を立てた事はありませんでした。エテリ・ゲオルギエヴナと話した事さえありません。五輪後に変わる人々を沢山見ます。心理的にとても難しい競技会です。それ自体は試合ですらないのです。でもそこへ行く道は1-2年あります。
とにかく女子の選抜がどれほど厳しいかという事を見ました。これがスポーツの残酷さです。シーズン全てを勝ったとして、それでも五輪へ行けるか行けないか、分からないのです。
I︰貴方は一度インスタグラムでリプニツカヤの事を書きましたね。少し話しをした、でもあまり言わない、と。これはどういう意味ですか？
P︰2016年にユリアが治療後に戻って来た後、私達は会う事を決めました。以前に私達が会ったのはずっと前の事だったんですけれども。私がトゥトゥべリーゼとトレーニングをしていた時ですから。
私達は一日中歩いて、話しました。私達がスケートをしていた時、試合でとても良い時間を過ごしていました。でも、リプニツカヤと私はお互い競い合う場面がとても多かったです。
そして私がトゥトゥべリーゼの元を出ていった時、多くの人はユリアが原因だと思いました。でもそれは全然理由ではありません。
I︰貴方とほぼ同じ年のトゥクタミシェワを見ると、競技を続けています。これは驚かされますか？
P︰彼女は素晴らしいです。でも私達はアレクセイ・ミーシンに大きな感謝を伝えなければならないです。道徳的に彼女を支援しています。何故なら貴方のキャリアにあのような瞬間がある時、両親達は殆ど助ける事は出来ませんから。
I︰シニアの年齢を引き上げるという考えについて、どう思いますか？
P︰私は支持します。私には、アリーナ・ザキトワが来シーズンにどのようにアレクサンドラ・トゥルソワと競うのか、本当に想像出来ません。
又はアレーナ・コストルナヤもそうです。彼女が、ただ4回転を持っていないから負けるというのは惜しい事です。アレーナ(・コストルナヤ)は完璧なスピンをします。氷上でとても調和しているように見えます。それはとても不公平です。彼女には自然な雄大さと柔らかさがあります。
サーシャには強さがあります。私が見ると、彼女は5回のターンの中でもジャンプが跳べるように見えます。
I︰昨シーズンの事で何を覚えていますか？
P︰ジェイソン・ブラウンとコストルナヤのショートプログラムです。私はカミーラ・ワリィエワが本当に好きです。そして最も輝かしい試合はもちろん世界選手権です。エフゲニアの事、それからリーザ・トゥルシンバエワと彼女の歴史的な4回転ジャンプがとても嬉しいです。優勝したアリーナは、私にとってはただ完璧な表彰台でした。
そしてやはり、メドベージェワにとっては演技をするのが簡単ではなかったでしょう。トゥクタミシェワの代わりにチームに入るという、全ての話に彼女は登場しましたから。
私はSNSでジェーニャをフォローしています。彼女は更に成熟し、綺麗になりました。でも同時に自分自身を失う事はありませんでした。彼女がコーチや環境を変えた事は役に立ちました。移行期の年齢の難しさを生き残る事を助けました。ブライアン・オーサーは彼女の支援が出来ます。
I︰別の意見も聞きました。トゥトゥべリーゼと比べると正反対な、ブライアン・オーサーのより大衆的なアプローチが、少しメドベージェワをいつもの道から叩き落としたのではと…
P︰コーチが定期的に要求する時、選手は自分自身に要求される事に慣れていきます。エテリ・ゲオルギエヴナは私に、最大限でいる事を教えていました。ですから誰かが私に無理に強いるという事は、もはや必要ではないのです。そして貴方が決断して他の国へ移動する時は、そういう練習は出来ません。でも自分の決断だと理解しないといけないのです。リラックスは出来ません。でなければ、移動するポイントは何だったのでしょうか？
I︰新チームがエフゲニアのために選んだ芸術的イメージは気に入っていますか？
P︰私は彼女の最初のショートプログラムが本当に好きでした。皆がこのプログラムを物凄く批判していましたが、私は完全に違う人を見たんです！とにかく彼女のプログラムは常に叙情的で柔らかさがありました。
今彼女はアリアナ・グランデのショー用のプログラムで批判されています。酷いピンクのコスチュームで。人がいつも同じものを滑っていたら、つまらなくなります。新しいものを取り入れなければ…なんて恐ろしい事でしょう！
そしてタンゴも素晴らしく良いものになりました。特に世界選手権では。彼女の最初のギラギラした目、彼女がクールな滑りをする準備があるという事が明らかでした。
I︰ところで貴方は、彼女達の事とトゥルシンバエワの事をかつての小さなグループメイトとして考えているのですね。
P︰ジェーニャはそうですね。彼女の事で覚えている事は、彼女は年上の選手達に追いつこうと頑張っていました。そして泣いて、心配していました。何かが上手くいっていないんじゃないかと。そしてもう一度挑戦していました。
私達もまた長い間お互いに会っていなかったんです。去年の8月から9月、私達はノヴォゴルスクでのテストスケートで会いました。私は彼女が非常に成熟した事に気付きました。ジェーニャは「え、本当？」という答えでした。
そして私達はハグをして、笑いました。
I︰グループの振付師、アレクセイ・ジェレズニャコフが一度言っていました。貴方にはジャンプの才能があり、リプニツカヤには柔軟性とスピン、そしてメドベージェワには唯一信じられないほど練習する能力があるだけ、と…
P︰ジェーニャには特別な身体的資質の無い人のストーリーがあります。自然なままではとても良いジャンプが無かった選手が、彼女の突出した仕事ぶりによって最高のレベルに到達する事が出来るというものです。でもエテリ・ゲオルギエヴナは見たところ特別な直感があったようです。
I︰トゥトゥべリーゼが世界一厳しいコーチというのは、ステレオタイプですか？
P︰コーチは皆が叱るものです。ただ選手が成し遂げた成功が多くなれば、人々は皆がその選手についてのストーリーを更に書くものです。私が米国でロシア人スペシャリストに指導されていた時でさえ、彼はとても厳しかったです。彼は言い方にとても気をつけてはいましたが。そうでないと、その先は不可能になるでしょう。
I︰私が覚えているストーリーがあります。一度試合へ向かう道中で渋滞があり、トゥトゥべリーゼが貴方に詩を読むように頼みましたが、貴方は出来なかった。彼女が幾つか読んでいる間…
P︰私の恥ずかしい時間です(笑) でも一般的に、私達が試合に行く時は、彼女と過ごす時間はとても楽しいものです。氷の外では、彼女は優しくて、楽しかったです。私達は良く散歩をしました。
I︰移行期の年齢で、コーチと問題を抱えたスケーターにどんなアドバイスをしますか？
P︰最も重要な事は、軽率な決断をしない事です。コーチと話す事が必要で、良く話を聞く事。そして、もしコーチが貴方を叱りつけた時には、練習の後に個人的な会話を通して質問して下さい。そうすれば、全てがはっきりするでしょう。
終。
