【アーカイブ】ヴィンセント・ジョウ選手のJapan Timesインタビュー

以前ツイッターに載せたものを、アーカイブ的にブログに載せたいと思います。

英語の記事を訳してみたり、そういう事を始めた最初の頃に書いたので、なんか読み返すと、変な文とかがあるなーって思いました(汗)

 

 

https://www.japantimes.co.jp/sports/2019/04/16/figure-skating/productive-partnership-hamada-helps-zhou-find-success/

 

【実りあるパートナーシップ…濱田コーチが導くジョウの成功。】


福岡にて。

人生では、時々自然にお互い心が通じ合う人と出会う。

それは時にクラスメイトだったり、チームメイト、同僚、教師や指導者だったりする。


そこには初めからコミュニケーションと敬意があった。そして時と共に花開いた。それが国や世代を越えるとなると、本当に美しいものへと姿を変える。

世界選手権銅メダルのヴィンセント・ジョウと濱田美栄コーチ…若き米国人スケーターと日本のベテランのコーチ。彼らにはお互い敬意と愛情が大きくなっていた。

 

濱田コーチは、ジョウのコーチがコロラドに残っている間、国別対抗戦でジョウを見ていた。

ジョウは九州で素晴らしい演技をやって見せた。同国人である世界チャンピオンのネイサン・チェンよりあと少しで優るほどに輝いていた。男子の試合で18歳のジョウは2位で、チェンにあと2点だけ届かなかった。


ここ数年、日本人の選手が海外へ渡り、外国のコーチの元で技術を磨いている、ということは良く聞こえてきた。たからこそ濱田コーチが最近の世界選手権や国別対抗戦でボードの所に立ってジョウをサポートしている所を見るのは、新鮮だった。


日本のコーチには多くの依頼が来ており、沢山の素晴らしいスケーターが若い頃から、彼らに基礎を教えている事は尊敬に値する。


アイスタイムではジョウと濱田コーチにそれぞれ別にインタビューを行い、彼らの関係がどのように上手くいっているか、話してもらった。


「ジョウのメインコーチのタミー・ギャンビルから指導を頼まれました。もう2年近く彼を教えてきました。」と濱田は語った。


筆者は言葉の壁が二人にとって妨げとならなかったのかと思った。

「技術的な用語は殆ど同じなので、スケートに関してはコミュニケーションを取るのは簡単です。」


筆者はジョウが次のレベルへ行くには何が必要か知りたかった。

「彼はもっと基本的なスケート技術とエッジに取り組まないといけません。彼は情熱と良いエッジがあれば、チャンピオンになれるでしょう。彼のジャンプの質は既に素晴らしいものですから。」

 


【深い感謝の念】

ジョウの濱田コーチへの感謝は非常に深いものがあった。

「僕は、世界選手権から今大会まで、濱田コーチがしてくれた事全てに、本当に感謝しています。去年の夏に少し彼女と仕事をしました。それで、日本に慣れるために世界選手権より一週間前にここに来ました。」

 


2017年の世界ジュニアチャンピオンのジョウは、濱田コーチとの練習は、期待していたよりも良いものをもたらしたと話した。

 


「僕が予想していたよりも多く得るものがありました。濱田コーチは本当にスケート技術の基礎に関する知識をものすごく持っています。


彼女は他のスポーツも見て学んでいます。どのように回転をするか、どのように高さを出すのか、どのように身体を正しく真っ直ぐにするか。彼女はそれをスケートの基礎的技術につなげます。そして真っ直ぐなその身体の線は良いエッジへつながる事を見越したものです。それからジャンプへもつながります。普段は気にとめないものが、すぐに理にかなったものに見えてきます。


とても有意義です。それだけでなく、濱田コーチは本当にスケートを愛しています。彼女はお金や名声のためにやっているのではないのです。」


雄弁で、非常に賢いジョウは、濱田コーチの影響がどれほど重大だったか語った。

「濱田先生は氷上以外の所でも僕を助けてくれました。交通機関の事や食べ物、色々な予約や多くの事に関しても助けてもらいました。」


カリフォルニア州サン・ノゼ出身のジョウは、濱田コーチのスケートへの献身は誠実で純粋なものだと思っている。

「濱田先生は本当に生徒たちにスケートを楽しんで欲しい、自分自身を信じて欲しいと思っていて、高額な報酬や評判を得ようとはしていません。

先生は本当にスケートが大好きで、教えるのも大好きで、生徒をただ助けたいのです。そしてそれは珍しい事で、とても特別でもあります。この数週間、僕を助けてくれた事への感謝というのは、言葉では言い表せないほどのものです。」

 


【迅速な吸収力】

濱田コーチは、ジョウがどのように彼女のチームメンバーに溶け込んでいったか、詳細を話してくれた。

「ヴィンセントはとてもマナーが良く、意欲的です。でも、知子も毎日よく練習しますし、梨花もそうです。ヴィンセントと知子と梨花の三人にとって、とても良い状況です。彼は知子や梨花にとって、良い練習パートナーです。」


濱田コーチはジョウから反応が返ってくる事の喜びについて話した。

「彼は氷上でとても幸せそうに見えます。私は彼に何か強いるのではなく、彼の意見が聞きたいのです。彼はシニアの選手で、ジュニアの男の子ではありませんから。」

 

筆者はジョウのジャンプについて、濱田コーチの考えを聞いた。

「ルッツとサルコウはとても良いです。でもトゥループにもう少し取り組みたいと思います。アクセルはとても良くなってきています。」


濱田コーチは、以前にも海外から日本でのフルタイムの指導の依頼があったと明かした。だが、彼女は関西大学のリンクで働いており、指導場所の制限があるため、出来なかったという。


「もし時間があれば良かったのですが。私はかなり忙しいので。

数人の米国の選手から依頼があったのですが、私たちのリンクはとても厳しい。私がいるリンクは大学が所有しているので、難しいんです。誰でも使えるわけではないので。

それに、(外国の選手の指導は)とても責任があることですから。」

 

【特別な依頼】

ジョウは、外国のスケーターたちが濱田コーチの元で学べば、多くの物を得られると考えている。

「どんなスケーターでも、よく話が聞けて、成長する意欲があり、自分本来の文化が日本の文化(礼儀正しく謙虚で、仕事熱心)に合っていれば、濱田先生との仕事はとても効果的なものになるでしょう。どの選手でも、彼女と仕事が出来る人はとても幸運ですよ。」


アイスタイムは宮原、紀平、そして白岩優奈について、ジョウに尋ねた。

「彼女たちのスケート技術はとても良いです。僕は、彼女たちがエクササイズを何度も何度もやっているのを見ました。それは濱田先生の教える、基本的なエクササイズです。そうやって彼女たちは正しい位置を学んだのです。スケート技術からジャンプを跳ぶために、身体を真っ直ぐに整える事を学ぶのです」


「多くのスケーターが2つに別れます。すごいジャンプを跳ぶか、良いスケート技術で滑るか。濱田先生は生徒たちのジャンプの良い位置調整、スケートの良い位置調整が融合しているかを見ています。それは生徒たちのスケートに表れています。

出来れば、僕のスケートにも見えてきて欲しいと願います。それは既に良い結果として現れました。濱田先生は本当に僕のジャンプの向上に関して助けてくれました。特にトゥループサルコウ。今大会では全てクリーンでした。」

 

 

【福岡での素晴らしさ】

濱田コーチとの協力に関して話し合った後に、アイスタイムは国別対抗戦での演技について尋ねた。


「あのフリーは、今まで試合でやった中でも一番完璧なものでした。シーズン最後に、あのような演技を出し切った事は、素晴らしく感じました。世界選手権の銅メダルの時より更に成長したのです。その試合でやった事よりも、より良く出来たのです。


シーズン最後をあのように終えた事は

最高の気分です。特に、日本のようにフィギュアスケートへの多くの愛と応援がある場所でしたから。」

 

彼の非常に成功したシーズンの次へ続くものとして、筆者はジョウの次のゴールへの戦略はどのようなものになるか気になった。


「今大会の僕の総合得点は299.01点でした。ですから来シーズンは300点を取りたいです。」とジョウは宣言した。

「僕は4回転をスケーティングの中に調和させる事を続けたいです。僕は去年よりも芸術性が沢山伸びたと思います。芸術性に関しては更にもっと伸ばし続けたいです。

僕のスケーティングが可能な限りの所まで良くなったとは思いません。僕にはまだ多くの伸びしろがあると知っています。自分で考えているよりも、多く。」


ジョウは、自分にとっての目標をどうやって上げ続ける事が出来たのか、振り返った。


「世界ジュニアでの最高点を出した2017年の僕のフリーは、その時に僕が出来た最高のものでした。でもそれから沢山成長しました。」とジョウは語った。

「僕の人生最高のスケートは五輪での演技です。そして、それから更に成長出来ました。」と付け加えた。

「それでも、この国別対抗戦で僕がした事は、僕ができる限りの最高の演技のように思えます。僕はこれから先の将来も、自分自身を驚かせる成長をし続けると分かっています。」

 

【日本の象徴的選手に対しての考え】

アイスタイムはジョウにライバルである羽生結弦宇野昌磨についての印象を聞いた。


「僕は彼らの試合を見ながら育ちました。僕が子供の頃に、彼らが世界選手権で試合をする姿やすごくクレイジーな事をする姿を見ていました。」とジョウは思い出していた。

「僕はあのレベルになりたかったのです。いつか彼らと戦いたいと夢見ていました。そうなればいいなって思っていました。」

「ゆっくりと時が経つにつれて、沢山の練習や決断、そして自分自身を成長させたいという欲求を通して、僕は彼らとの差をどうにかして縮め始めました。」

 

ジョウは過去数年間の中で、(トップへと)上がってきたにもかかわらず、羽生や宇野と同じレベルに行くにはまだ道のりがあると告白した。


「僕は今でも彼らは途方も無くすごいと思います。僕は自分の位置を彼らより上にいると考えたりしません。

彼らは僕よりも優れたスケーターだと思います。でもその事は、今でも僕に、いつの日か本当にトップへ駆け上がるまで、ものすごく成長したい、という向上心を与えてくれます。」

 

現在の二人の日本人のスター選手への意見を聞いた後に、アイスタイムは以前のスター、高橋大輔についても考えを尋ねた。高橋は引退から四年を経て復帰した。


「その事は聞きました。そして、もし彼が復帰したら、彼は未だに影響力があると推察されます。その事全てが、感銘を与えるものです。競技からそれだけ長い間離れて、その後復帰しても未だに脅威と考えられるのですから。」


「高橋選手は関西大学で滑っていたので、僕がそこにいた時に彼を見ました。彼は本当に信じがたいほどです。僕はさらに彼を見ながら育ったのです。彼と、エヴァン・ライサチェックやエフゲニー・プルシェンコ、他の選手たちも。」


アイスタイムは、彼とチェンの二人が、米国のフィギュアスケートへの関心の復活をもたらす事が出来た事、それも含めてジョウが成功だと感じているか聞いた。


「そう願います。僕のキャリアはまだ長く続きます。ネイサンのキャリアもまだ長く続きます。どんなスケーターのキャリアも長く続ける事が出来ます。」とジョウは語った。

「僕達に影響を受けた若いスケーターの世代を見る事、それよりも素晴らしいご褒美は他に無いでしょうね。」

 

「スケート靴を持って五輪チームに入る挑戦をする事。エヴァン・ライサチェックが五輪で優勝する姿を見て、僕が鼓舞され刺激を受けた事、それと同じ事です。」

「僕はいつかそのような存在になりたいです。そして願う通りに、僕が子供たちにスケートを習い始めるきっかけを与えて、そしてスケートへの情熱を育む事ができたら、その子たちは何か素晴らしいものへと成長する事でしょう。」

 

終。